2016年ベスト
恒例(と言ったって誰も待ってない)企画をば。今年も大豊作の年となった。ジャズを聴きはじめてもうすぐ30年になるが、今ほど面白い年代はないんではないか、という充実ぶりである。しかも、その気になれば世界のどんな片隅の音源も入手できるし。というわけで、昨年8年ぶりに撤廃した各部門の枠を今年も拡大し、ミュージシャンやレーベルのダブりもなるべく許容した。輸入新譜と邦人新譜が各10枚、発掘・復刻版が海外と国内の各3枚、そして新設のダウンロードアルバム部門も海外と国内の各3タイトル、ついでに各部門に「おまけ」を1タイトル付けた(理由はそれぞれ参照)。なお選考基準は、今年よく聴いたもの、インパクトの大きかったもの、新奇なもの、お付き合い、思い入れ、バランス、等を考慮した結果である(まあ、こういうのは選者の美意識なりスタンスなりが反映されるものにすぎないのであって、どうしたって中立的・客観的たりえないのである)。
海外新譜
Dan Weiss - Sixteen : Drummers Suite
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Vijay Iyer / Wadada Leo Smith - A Cosmic Rhythm with Each Stroke
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Weasel Walter Large Ensemble - Igneity: After The Fall Of Civilization
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Leila Bordreuil / Michael Foster - The Caustic Ballads
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Anthony Braxton - 3 Compositions (EEMHM) 2011
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Bi-Ki? // Quleque Chose au Milieu
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PBB's Bread & Fox - Big Hell On Air
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John Butcher, Thomas Lehn, Matthew Shipp - Tangle
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Luc Houtkamp & Hannes Buder - The Malta Sessions
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John Zorn - The Classic Guide To Strategy Volume 4
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正直に告白すれば、ウィーゼル・ウォルターとアンソニー・ブラクストンとジョン・ブッチャー~マシュー・シップとジョン・ゾーン以外は何でもいいのであるけれど、前述の通りなるべく新奇なものを紹介したかったので、こういうラインアップになった。なおこの部門のベスト1はジョン・ブッチャーとマシュー・シップ(とトーマス・レーン)の「Tangle」である。ちなみにこの部門の「おまけ」はヴォーカルアルバムを紹介しておきたい。
John Zorn - Madrigals
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邦人新譜
明田川荘之~楠本卓司~本田珠也 / アフリカン・ドリーム
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Ryoko Ono & Rogier Smal - Wood Moon
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近藤直司 - 永田利樹 - 瀬尾高志 / Petite Fleur
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秋山徹次 / 大城真 / すずえり / ロジャー・ターナー Live at Ftarri
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加藤崇之 / PEPETAN
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HMT
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坂田明 × 岡野太 / duo improvisation
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カフカ鼾 / nemutte
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後藤篤 カルテット - Free Size
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梅津和時 × グラント・カルヴィン・ウェストン / Face Off
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輸入盤には大編成も3枚あったが、国内盤はいずれも4人以内の少数精鋭ばかりという結果になった。この部門のベストは、坂田さんと梅津さんのいずれもドラムとのデュオアルバムが同率1位であろうか。この部門の「おまけ」はこれです(もともと、このCD-Rを入れたいがために「おまけ」を企図した)。
吉田野乃子デモCD-R
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DL新譜
Mary Halvorson & Noel Akchote
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Peter Evans - Lifeblood
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Roger Turner / Yukihiro Isso - TAKANEHISHIGU
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SXQ Live at Cafe Footprints
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中島さち子 - Time, Space, Existence
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Yanagawa Ono SAX DUO
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メアリーとアクショテのデュオも特筆すべき素晴らしさ(ライブ盤もある。11月13日参照)だが、この部門の1位はピーター・エヴァンスの大傑作ソロである。おまけは、発売数日で消えてしまった Chris Pitsiokos の幻のアルバムを(のちに同じメンバーで仕切り直しとなっている。8月29日参照)。
Chris Pitsiokos - Before the Heat Death
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再発・復刻版
William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975 - 1989
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David S. Ware & Matthew Shipp DUO / Live in Sant'Anna Arresi, 2004
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Buell Neidlinger - Gayle Force
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富樫雅彦 + 菊地雅章 / コンチェルト
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森山威男 ミーツ 市川修
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SEIKATSU KOJYO IINKAI / 生活向上委員会ニューヨーク支部
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「生活向上委員会ニューヨーク支部」の再発にも驚いたが、最も驚いたのはやっぱりチャールズ・ゲイルが20代だった60年代の発掘音源だろう。この部門のおまけは、スティーブ・リーマンの「Interface」リマスター再発LP化について。まあ私には関係ないのだけど、ブレイク以前のリーマンのリーダー作について知りたい人はこちらをご参照いただければ幸いです。
Steve Lehman Camouflage Trio - Interface
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まとめ
全体を通じてのベスト1はピーター・エヴァンスの「Lifeblood」である。ついにDLアルバムが1位になってしまった。来年以降はさらにこういうことが増えていくのかなあ。
というわけで、今年も残すところあとわずか。昨年末に立てた目標のうち、「1年間の半分にあたる183エントリ」はどうにか達成したが、「ジャズの話だけでなく他の話題も提供」は全く手つかず、さらに明記はしていないが、エリック・ドルフィーに関する雑文も中途半端なまま、2年連続でまるで宙に消えるみたいに途絶している。2017年の目標は「200エントリ」と、手つかず或いは途絶した仕事をやりおおせることだろうか。
以上、本年もお付き合いいただき、誠にありがとうございました。来る年も生温くお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。