あうとわ~ど・ばうんど

2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

Straight Ahead

長くファンを続けていても、聴いたことのない音源は多いものである。もちろん、できうる限り全部聴きたい、と思うこともないではない。が、万難排し何としてでも、という気にならないのはファン度が足りないわけでなく、性格の問題だろう。 とは言うものの、…

Live at the Bimhuis

「Live at the Bimhuis/Dave Douglas Quintet」(greenleef)。2枚組み、全9曲115分。Douglas(tp)Rick Margitza(ts)Uri Caine(rhodes)James Genus(b)Clarence Penn(ds)。 02年のオランダライヴ。ディスコグラフィー的には「Infinite」の時期、演奏曲も同作の…

神聖喜劇

音楽以外の話を。 漫画版「神聖喜劇」が完結を迎えた。昨年、戦後文学の金字塔というべき大西巨人の大著が漫画化されると聞いたときは不安に思っていたのだが、現在は、原作内容を的確に取捨選択、噛み砕いた上でしっかり描いてくれた、と思っている。 特に…

石蹴り遊び

アルゼンチンの作家フリオ・コルタサルの小説に、「石蹴り遊び」という奇態な作品がある。全155章のこの小説は、著者によって2種の読み方が用意されている。 一つは、第1章から順に読み始め、ほぼ時間軸に沿った形で物語が展開し、第56章で終わりとするもの…

Reflection

「Reflection/Ed Neumeister」(meisteromusic)。全8曲64分。Fritz Pauer(p)John Hollenbeck(ds,per)Drew Gress(b)Neumeister(tb)。 これはイイ。エド・ニューマイスター(と読むのか?)のことは知らなかったけれど、ドラムがジョン・ホレンベック、ベースが…

OVAL

「OVAL/Sten Sandell Trio」(intakt)。全4曲50分。Sandell(p)Johan Berthling(b)Paal Nilssen-Love(ds,per)。 このトリオのことは以前にも書いている(一昨年12月17日参照)。なんとも粋で、爽快感に満ち溢れるピアノトリオだ(笑)。今作はライヴ録音のせいな…

Slugs' Saloon

昨年末からガルシア・マルケス全小説が刊行され始め、今は「百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)」を10数年ぶりに読んでいるところなのだが、なぜかアイラーの音楽がよく合う。過剰さや物悲しさが共通するからだろうか。と考えてみるが、よく分からない。…

Ode to Life

なんだか無性に「Ode to Live/Don Pullen & The African-Brazilian Connection」(blue note)が聴きたくなり。93年、全7曲59分。Pullen(p)Carlos Ward(as,fl)Nilson Matta(b)Guilherme Franco(timba,berimbau,per)Mor Thiam(djembe,tabula,rainstics,wind ch…

Spirits Rejoice

「Spirits Rejoice/Albert Ayler」(esp-disk)。65年、全5曲33分。A. Ayler(ts)Donald Ayler(tp)Charles Tyler(as)Sunny Murray(ds)Call Cobbs(harpsichord)Henry Grimes(b)Gary Peacock(b)。 この統合不全というか、トチ狂った訳の分からなさが、最高である…

In a Silent Way

「In a Silent Way/Miles Davis」(sony)。69年、全2曲38分。Miles(tp)Wayne Shorter(ss)Joe Zawinul(elp,org)Chick Corea(elp)Herbie Hancock(elp)John McLaughlin(elg)Dave Holland(b)Tony Williams(ds)。 実はこのアルバム、苦手だったりする(嫌いではな…

月の鳥

遅ればせながらですが、「月の鳥/渋谷毅 石渡明廣」(carco 全8曲45分)を聴いています。いいですね、かなり。 ほどよい脱力感と情緒性、小匙一杯の不穏さのブレンド加減が素晴らしい。聴き進むうちジワリジワリ沁みてきて、最後に重たいものも残る。②タイト…

Straight Lines

旧譜より。「Straight Lines/Ken Vandermark's Joe Harriott Project」(atavistic)。98年、全7曲56分。Vandermark(ts,cl,bcl)Jeb Bishop(tb)Kent Kessler(b)Tim Mulvenna(ds)。 ジョー・ハリオットの楽曲を演奏するヴァンダーマークのプロジェクト。演奏は…

into the black

リリースは先月だが、最近入手。「into the black/大島輝之」(body electric/ewe)。全10曲59分。大島(g,etc)大友良英(g,turntable)守屋拓之(b)塚本真一(p)松本健一(fl,as)藤原大輔(ts)後関好宏(bs,as)吉田隆一(fl)大蔵雅彦(bcl)ミロク(syn)植村昌弘(ds)イト…

Intermission

When you hear music, after it's over, it's gone in the air. You can never capture it again. いわずと知れた、ドルフィーの最も有名なこの言葉。「Last Date」の最後に収録されていることもあってか、ロマンチックな解釈をする人も多いようだ。だが、こ…

HOXHA

昨日のブラクストンも在籍するAACMは他にも、リチャード・エイブラムズやアートアンサンブルオブシカゴ、レオ・スミス、ヘンリー・スレッギルなどの精鋭たちを輩出しているが、AACM派と一括りにできない1人1スタイルの多様性がある。AACMは黒人ジャズの運動…

For Alto

久々に「For Alto/Anthony Braxton」(delmark)を聴く。69年、全8曲73分。Braxton(as)。 アルトサックスによるソロインプヴィゼーション。個人的には②「To Composer John Cage」の暴虐性が最も好きだが、静けさに満ちた⑤「Dedicated to Ann and Peter Allen…

Live at Kagoshima USA

「ライヴ・アット 鹿児島 USA 1974 第一集 “オレオ”/本田竹曠トリオ」(aketa's disk)。全7曲70分。本田(p)望月英明(b)古澤良治郎(ds)。 「同 第ニ集 “朝日の如く爽やかに”/本田竹曠トリオ」(同)。全7曲66分。同上。 33年前の発掘。メンバー3人ともまだ20代…

Requiem

アリス・コルトレーンとマイケル・ブレッカーが亡くなったのだそうで。 2人とも特に好きでも嫌いでもないというのが正直なところだが、2人がほぼ同時に、ということを考えると、トレーンが2人を呼んだのかも、なんて思ってみたくなる。ま、ともかく、それで2…

Intermission

マイルスの自叙伝には魅力的なエピソードが満載だが、こんな話がある。 コルトレーンのサウンドは彼の歯が抜けているからだと、マイルスは思っていた。で、トレーンが歯医者に行くと言い出し、マイルスは慌てて無理矢理リハーサルを入れて妨害しようとしたが…

A.R.C.

「Arc/Chick Corea/David Holland/Barry Altschul」(ECM)。71年、全6曲40分。Corea(p)Holland(b)Altschul(ds)。 70年前後のチックは、ホントにかっこいい。激しくも、凛とした美しさに包まれている。今や功なり名遂げた彼は、もう二度とここには戻ってこな…

渋響

渋さ知らズの新譜「渋響」(avex io)が届く。全9曲66分。 グループ名とは裏腹に、なんだかどんどん『渋く』なっていくように感じられる渋さ知らズ(⑥「P-Chan 〜Rearrange〜」なんて、超渋い)。おまけにDSDレコーディングだとかで、音分離がよすぎる。もっと無…

Golden Circle

「Vol. 1-at the Golden Circle/Ornette Coleman」(blue note)。65年、全8曲76分。 「At the Golden Circle 2/Ornette Coleman」(同)。同年、全7曲78分。 Ornette(as,tp,vln)David Izenzon(b)Charles Moffett(ds)。 60年代オーネットの演奏は、今の耳では…

Live at the Lighthouse

レコードは見つけたときに買え。CD時代の今も変わらぬ格言である。この作品も、何年か前、ああ出たなあそのうち買おうかなあ、と思っていたら、あっという間に姿を消してしまった。のちに中古で入手したが、高かったなあ。 「Elvin Jones Live at the Lighth…

Spiritual Unity

昨日取り上げたドルフィーのような、異形的なジャズに常に惹かれてしまう。異形性のみならず、決してどんなコンテクストにも回収されず、未来に開かれている音楽。聴いた後に湧き上がる名づけようのない不安定な感情。そしてそれはいつまでも解決されず胸に…

The Uppsala Concerts

「The Uppsala Concert Vol.1/Eric Dolphy」(marshmallow classics)。61年、全5曲48分。Dolphy(as,bcl,fl)Rony Johansson(p)Kurt Lindgren(b)Rune Carlsson(ds)。 「The Uppsala Concert Vol.2/Eric Dolphy」(同)。同年、全4曲44分。same personnel as abo…

Monk Solo

ジャズ研時代同期のピアニストだったPは、周囲に『モンク的』と評され、ぼくもそう思っていたのだが、卒業後会ったとき『モンクが好きというわけでない』と聞かされ、非常に驚いたことがある。彼としては流麗なアドリブを目指し、結果的につっかえてしまうの…

いわな

「いわな/宮沢昭」(victor)。69年、全4曲51分。宮沢昭(ts,per)佐藤允彦(p,per)荒川康男(b,per)富樫雅彦(ds,per)瀬上養之助(per)。 かつては、26分に及ぶタイトル曲①がどうにも好きになれず、実はあまり聴いていなかったのだが、聴き返してみると、①はやはり…

Prelude

あけましておめでとうございます。 年末年始、付き合ってくださった方々、大変楽しかったです。ありがとうございました。 通常読者の皆様も、今年もよろしくお願いします。