あうとわ~ど・ばうんど

カフカ鼾 / nemutte

カフカ鼾の新作を聴く。

nemutte

nemutte

石橋英子(p, rhodes, electronics) Jim O'Rourke(g, b) 山本達久(ds, per)


前作「okite」は、カフカ、絞首台とおぼしきジャケ写真から「掟」だと思っていたのだけれど、2作目が「nemutte」なので、実は「起きて」だったのかと驚いた。が、ミスリードを誘っていたのでなく、元からダブルミーニングだったのではないか、とも考えたのだけれど、じゃあ「nemutte」に別の意味があるのかと問われれば、試しに語変換してみても「音夢って」とか「合歓って」と誤変換されるのみで、とりたてて同音異義語もないようであり、やはり最初から「起きて」だったのかもしれない。ということはさておき、前作は細波が次第に徐々に少しずつやがて大きなうねりと化すドラマチックな音楽だったけれども、今作は波紋が一つ静かに広がると次の波紋が重なりさらに別の波紋がといった具合に十重二十重に連なり逆順を辿って静けさに至る対照的な音楽と感じた。やはり前作は「起きる」音楽で、今作が「眠る」音楽ということになるのだろうか。