あうとわ~ど・ばうんど

Buell Neidlinger - Gayle Force

ロジャー・ターナーのライブから昂揚して帰宅したら、これが届いていたのでさらに昂揚した。

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Buell Neidlinger - Gayle Force
k2b2 Records
Buell Neidlinger(b) Charles Gayle(ts) John Bergamo(ds)


これは瞠目すべき音源。なんと1965年、チャールズ・ゲイル26歳の初レコーディングである。ゲイルが「ホームレスミュージシャン」として表舞台に現れたのは80年代後半、50歳に手が届こうかという年齢であったのだから、それより20年以上も前の録音。1939年生まれの彼が、若いころから音楽一筋に生きてきたことはよく知られているから、80年代以前の音源があってもけっして不思議ではないのだが、それでもやはりこれは驚愕の発掘音源である。

もともとはビュエル・ネイドリンガー(セシル・テイラースティーヴ・レイシーとの共演が有名)の私蔵音源だそうで、ジョン・ベルガモフランク・ザッパの「Zappa in New York」に参加)らとのある日のジャムセッションに、テナーを持ってふらりと現れた黒人青年が驚愕のプレイを展開したので、プライベート録音を敢行したのだという。いやあよくぞ録っていてくれました、よくぞ出してくれました、の貴重な一枚である。

アルバムは全5曲、34分ほど。音質も悪くない。オーネット・コールマンの「ロンリー・ウーマン」も演奏されていて、後年のような何となくそんな感じ、ではなくデフォルメしつつメロディーが聴き取れるなど、その後完成される「血を吐くようなブロウ」スタイルからみれば未熟な所もある。が、怒涛の吹きっぷりで圧倒する曲もあり、芯の部分は全く変わっていないといえる。ゲイルは最初からゲイルであった。

65年といえばフリージャズが隆盛を迎えようとしていた時代。アルバート・アイラーが絶頂期に入り、若きゲイルのプレイに彼の影響が感じられるような気がするけれど、そういえばゲイルはアイラーの3歳下のほぼ同世代なのであった。もしかすると影響ではなく、独自に到達したのかもしれない。しかしこれだけ吹ける逸材が、どうしてその後20年以上もシーンから姿を消さなければならなかったのか。同時代のESPレーベルのアヤシイ作品群のことを考えると、本当に不思議でならない。

とにかく、ゲイルのファンならば聴いて損はない。


試聴
www.youtube.com


残念ながら国内では取り扱っているショップが見当たらず、私はやむなく米 Amazon でCD版を入手したが、DL版ならば iTunes で購入できる。

Gayle Force

Gayle Force

  • Buell Neidlinger, Charles Gayle & John Bergamo
  • ジャズ
  • ¥750



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