あうとわ~ど・ばうんど

Monk Solo

ジャズ研時代同期のピアニストだったPは、周囲に『モンク的』と評され、ぼくもそう思っていたのだが、卒業後会ったとき『モンクが好きというわけでない』と聞かされ、非常に驚いたことがある。彼としては流麗なアドリブを目指し、結果的につっかえてしまうのだが、それを好意的に受け取られ、実は内心面白くなかったのだとか。彼のそんなプレイが大好きだったぼくは、複雑な気分だったものだ。
もちろんぼくはモンクのことが好きなわけだが、ぼくがモンクのアルバムで持っているのは、ソロばっかりである。あの、つんのめるようなずっこけるような不思議なリズム感、耳を刺すのに心地よい妙ちきりんなクラスター、あるいは時に突如出現する涙誘うような珠玉メロディー・・・、こうしたモンクの魅力を味わいつくすなら、やはりソロではないか。と感じる。
Piano Solo (Dig)
Piano Solo (Dig)Thelonious Monk」(vogue/BMG)。54年、全9曲31分。Monk(p)。
ソロ・オン・ヴォーグ」というタイトルでも知られる本盤でも、モンク独特の魅力は満開。①「'Round About Midnight」や④「Well You Needn't」といった人口に膾炙した曲ばかりでなく、⑤「Reflections」⑧「Off Minor」という隠れた(?)名曲も好き。