Penumbra
Cryptogramophoneというレーベルがある。ロサンゼルスに本拠を置く、どちらかと言えば先鋭系のレーベルだ。そこから、ベニー・モウピンの新作が出た。「Penumbra/The Bennie Maupin Ensemble」。全14曲60分。Maupin(bcl,ts,ss,afl,p)Darek “Oles” Oleszkiewicz(b)Michael Stephans(ds)Daryl Munyungo Jackson(per)。
ぼくは、モウピンと言うと、やはり「ビッチェズ・ブリュー」から「オンザ・コーナー」までのエレクトリックマイルス・スタジオセッションを支えたオドロオドロ担当という印象が強い。このアルバムでのモウピンのバスクラやテナー、アルトフルートの醸し出すサウンドは、そんなオドロ幽玄世界観に包まれているように感じられる(ただし、エレクトリックマイルスには似てませんよ!)。
しかし、モウピンは同時にヘッドハンターズで名を馳せた演奏家でもあるゆえ、⑪「See The Positive」⑬「The 12th Day」でノリのいいところも見せるし、①「Neophilia 2006」は松風鉱一の「Aita's Country Life」にリズムパターンがよく似た曲で、思わずニヤリとさせられる。ベテランの枯淡の境地を漂わせる、渋い佳品。