あうとわ~ど・ばうんど

ドルフィーとカフカ

エリック・ドルフィー様、78歳の誕生日おめでとうございます。(ちなみに、9日後には42回目の命日です)。今から16、7年前の高校時代、あなたの音楽に出遭えて本当によかった。もし出遭えなかったら、そうとうに違う人生を歩んでいたはずです。現在に至る総てを用意してくれたのが、あなたの音楽でした(詳しくは昨年11月13日参照)。あれ?どっかで読んだ文章。
突然だが、ドルフィーはジャズ界のカフカではないだろうか? 実は最近、毎月刊行されているカフカ・コレクションを読んでいて、ふと思いついたことだ。生前の過小評価、没後の増すばかりの名声、ということもそうなのだが、現在も解明されない(できるものでないだろうが)作品の醸す迷宮性や謎の多さが似ている気がする。
カフカの小説は、センテンスは明晰なのに、センテンスが変わると状況がガラリと変わることが多い。特に長編になればなるほど、そうした細部が積み重なることで、あの独特の、夢の中にいるような不条理な世界につながっていくのだと思う。ドルフィーのアドリブも然りで、基本的フレージングはフリーになりきらずオーソドックススタイルを抜け切ってはいないが、長ければ長いほど、あの独特の歌い方やリズムフィギュアの積み重ねによって、えもいわれぬ不思議な感情を引き起こさせるのだ。
牽強付会

The Complete November 18, 1961 Paris Concerts/John Coltrane Quintet Featuring Eric Dolphy

ところで、今日こんなCDが届いた。「The Complete November 18, 1961 Paris Concerts/John Coltrane Quintet Featuring Eric Dolphy」(gambit)。2枚組み、全7曲104分。
コルトレーンドルフィークインテット、伝説の61年欧州ツアーから、元々有名なブートが出ている音源。上に書いたことを必ずしも証明はしないが(苦笑。ま、ドルフィーがリーダーじゃないので)、圧倒的にドルフィーが素晴らしい。マッコイは長いだけで、コルトレーンも頑張ってはいるがまだ殻を抜ける前。特に1-①「Impressions」、ドルフィーとエルヴィンのみが突出している。