The Complete 1962 Birdland Broadcasts
「THE COMPLETE 1962 BIRDLAND BROADCASTS/John Coltrane Quartet with Eric Dolphy」(gambit records)。8曲70分。John Coltrane(ts, ss) Eric Dolphy(as, fl, bcl) McCoy Tyner(p) Jimmy Garrison(b) Elvin Jones(ds)
待ちに待ち焦がれたCDがついに、ついに到着した。エリック・ドルフィー没後45周年なのに何も出ないのだろうかと一時は嘆きもしたが(5月13日参照)、その名にふさわしき好盤の登場。
前半は、『名盤』として名高き「Inner Man」(05年11月22日参照)からドルフィー参加トラック3曲のみ(カルテットによる「Body and Soul」を排除。そして「Mr. PC」を1曲目に持ってくる英断!)、そして後半に、その一週間後のライブ発掘音源(数年前にブートレグが出ている。原田和典「[rakuten:book:12770677:title]」246頁参照)からやはりドルフィー参加トラック3曲のみを抽出し一枚にまとめ上げた(残る2曲はMC)、ドルフィーファンには嬉しすぎて悲鳴をあげる一枚。
すばらしい。
原田本は、ドルフィー入り「The Inch Worm」を持ち上げているが、特にどうということはない。それよりも「Inner Man」を名盤たらしめている「Mr. PC」が再び演奏されていることにやはり注目。音は(多少)悪い、ドルフィーのソロ出だしが一週間前のようなもぎ取る感じでなくコルトレーンにかぶせてスムースにフィルインしてくる(ように聴こえる)とはいえ、コルトレーンの調子が一週間前に比べ断然良い(ように聴こえる)うえ、ドルフィーの当然のようにすんばらしいソロ後はピアノソロに行かずコルトレーンが切り込んでバース交換から後テーマという展開で、かなり熱い。一週間前の「Mr. PC」の名演度はいささかも揺るがないけれど、こちらの「Mr. PC」もいいなあ。
ドルフィーファンはマスト。
(26日追記。ディスコグラフィックな解説を少々。ドルフィーのコルトレーングループ在団は1962年2月までとされている。この月は毎週土曜日バードランドからラジオ中継され、「Inner Man」は9日のエアチェック盤で、これまでドルフィー在団“最後”の演奏とされてきた。本作後半は、その一週間後16日の演奏。なお、23日にもドルフィー参加の説あり、発掘が期待される)