The Unissued German Concerts
29日のエリック・ドルフィーの命日に書くつもりでいたアルバムが、本日ようやく届いた。
「THE UNISSUED GERMAN CONCERTS/John Coltrane Quintet with Eric Dolphy」 (RLR records)。61年、6曲79分。Coltrane(ts, ss) Dolphy(as, fl) McCoy Tyner(p) Reggie Workman(b) Elvin Jones(ds)
私はコレクターではないので、ドルフィー入りコルトレーン・クインテットをあまり持っていない。が、原田和典の「新・コルトレーンを聴け! (ゴマ文庫)」(08年)を読んだ時、ブートレグとして紹介されてたこの音源は聴いてみたいと思っていた(が、当時私はブートを買うのをやめていた)。そして、このたび、発掘ライブリリースに定評があるRLRから出たので、満を持して買ったわけだ。
聴いてみて。おお、これはたしかにすごい。特に冒頭の「Impressions」。コルトレーンが尋常でない気迫プレイを展開して、さしものドルフィーも真っ青かと思いきや、余計な心配はご無用。コルトレーンの場合どんなに崩しても『曲』から逃れられない(当時)が、ドルフィーはさすが1音目から“別局面(Other Aspects)”であり、これまた渾身凄絶ブロウ。マッコイが弾きたくなくなったのか付いていけなくなったのかまあ演出と考えるのが妥当だが、コードレスサックストリオで展開してゆくのが、ハードボイルドさに輪をかける。
61年11−12月のコルトレーン欧州楽旅、おそらく毎度コルトレーン先発ドルフィーかっさらう、を繰り返した挙句、ツアー終盤に至ってこのような壮絶展開と成り果てたのだろう。すばらしい。惜しむらくは、音質がそうとうに悪い(冒頭2曲。以後は改善するが)。だから万人には薦めない。しかしドルフィーファンは耳を通しておいて損はないはずだ。