あうとわ~ど・ばうんど

Time Out

超名盤を聴く。「Time Out/Dave Bluebeck Quartet」。59年、全7曲38分。Bluebeck(p)Paul Desmond(as)Eugene Wright(b)Joe Morello(ds)。
おそらく15年ぶりぐらいに聴いたが、当時と感想はあまり変わらない。何じゃこりゃ? ただし、シャリコマでつまらん、と言っているのではない。どうしてこんな変てこりんな音楽がヒットして、世のジャズファンは蔑んでやまないのか、不思議でならないのだ。
だって、テーマメロディーとデスモンドのソロを除けば聴き心地良くはないし、ポップな音楽とはとても思えないもの。たぶん、この作品が好きな人はそういう表面のムードだけ聞いて、サウンドやアドリブのことなどどうでもいいのだろう。批判する人は、ヒット作が嫌いなだけではないのか。

たとえば、①「トルコ風ブルーロンド」。4分の9拍子の特徴あるテーマはスリリングで面白いのだが、アドリブに入ると雰囲気がガラリ一変、デスモンドがスウィンギー。ところがブルーベックの番になるとさらに様相が変わり、なんだか夢遊病的。と、突然躁状態になり、テーマへ。③「Take Five」。ぼくもテーマメロディーは好きだが、デスモンドのアドリブは、おや、単純なドリアンモードではないかな。そしてなぜかドラムソロ長すぎ。
他の曲も、デスモンドがいるとポップに聞こえるが、リズム隊だけの演奏ははっきり言って聴きづらい。リズムにしろ和音にしろ、すごく屈折している。④「Kathy's Waltz」のタイトルになっているキャシーという女性が何者なのか知らないが、ちょっとエキセントリックなところがある人なのかな、などと想像してしまう。それにしても、38分の長いこと長いこと。