あうとわ~ど・ばうんど

シチリアーノ

8月リリース。「シチリアーノ/AKETA・藤川義明・翠川敬基」(aketa's disk)。5曲64分。AKETA(p,ocarina)藤川(as,ss,fl)翠川(cello)
帯ジャケには、こう書いてある。『冗談でなく、ライヴ中、奏者同士の殴り合いがあり、その音が記録された珍しいCD!』
2曲目「I'll Close My Eyes」で、既に萌芽はある。意外なことに今はオーソドックス寄りな藤川のアルトソロに、盟友・翠川がフリーでけしかけるが、藤川は動じない。そのうち翠川が「フリーやれ。フリー」と叫ぶのだが、藤川は無視。その後、何事もなかったように曲は進行、途中にフリー展開も挟む(駆け引きにややねちっこいところもある)のだが、無事に終わる。だが3曲目「Sicillian Mafia Blues」、ついにその瞬間がやって来る。
しつこくちょっかいを出す(?)翠川に藤川がキレる。「まじめにやれ」「なにいってんだよ」「まじめにやれってんのがわかんないのか」「なにバカヤロー」「バカヤローとはなんだ」・・・・・・小競り合い(?)・・・・・・何かをはたく乾いた音。
その後、演奏はバラバラ。かと思うとそうでもない。いや、心はバラバラかもしれないのだけれど、演奏自体は一種ぐっと締まったものになっている。そこが面白い。
藤川「おれはね、生まれて52年間、親にさえほっぺた打たれたことがないんだ」翠川「おまえ58だろバカヤロー」
・・・喧嘩にもユーモアがあって面白い。