あうとわ~ど・ばうんど

'Round About Midnight

さて。実はマイルスの初期音源には全く興味が無い。何度か「The Complete Birth of the Cool」に言及したりしているが、アルバム自体は持っていない(聴いたことはあります、大昔)。そして、なななんと、プレスティッジものすら一枚も所持していないのである(全部持ってた時期もあります、大昔。苦笑)。で、現在所有しているマイルスの作品中、最も古い音源はこれ。
ラウンド・アバウト・ミッドナイト+4
'Round About MidnightMiles Davis」(sony)。56年、全6曲39分(ボーナストラック不要)。Miles(tp)John Coltrane(ts)Red Garland(p)Paul Chambers(b)Philly Joe Jones(ds)。
普段は殆ど聴くことがないし、聴いても①「'Round Midnight」だけなのだが、今回ひっさびさに全曲聴いて思ったのは、結局、自分は所謂フツーのジャズにあまり関心がないのだなー、ということで、聴いた感想というのはこれといって特に無い。
ただ、ちょこっとだけ考えたことが2つあって、1つは、タイトルが「'Round About Midnight」と『正式表記』されているのに、曲リストには①「'Round Midnight」と『略称表記』されているのは何故なのか、ということ。もう1つは②「All of You」の作曲は1954年であって、収録時点(55年10月)ではスタンダードではなく、バリバリの流行曲だったという点。マイルスはキャリア初期から流行曲をレパートリーに取り入れていた、というのはよく知られているが、マイルスが取り上げたことによってスタンダードになった曲もまた多い。ジャズの基本はスタンダードと信じて疑わない人がたまにいるけれど、スタンダードは元はといえばポップスでありジャズマンが演奏するからジャズになるのであって(そもそもジャズで、スタンダードがよく演奏されるようになるのはモダン期以降である)、スタンダードの起源というものをよく考えてみる必要があるのではないか、とも思うのだが。