あうとわ~ど・ばうんど

Candid Dolphy

さて、今月のドルフィーは、ドルフィーファンでも普段はあまり聴かないような一枚を。「Candid Dolphy/Eric Dolphy」。全8曲65分。
60−61年の約半年間に、キャンディドでドルフィーが参加したセッション(リーダーはミンガスだったりローチだったりリトルだったり)から、ドルフィーが活躍する曲の別テイクを集めたオムニバス。OKテイクは、キャンディドのそれぞれの作品の中で聴けることから、『要は没テイク集じゃないか』的な扱いを受けている可哀相な作品。
確かにまとまりはないものの、ぼくは、悪くないと思う。ミンガスやらローチやらのアルバムの、ドルフィーがアンサンブルに徹しきった曲なんかも聴かされるより、こうして(別テイクとはいえ)ドルフィーに焦点を当てて、ひとまとめにしてもらったほうが非常に助かる。
ベストは②「Stormy Weather」だ。ミンガス、リッチモンドのサポートを受け、前半ほぼ3人で演奏される。このバラードにおける、約7分間のアルトサックスの美しく危うく妖しい響き。背筋が凍るような官能性。ドルフィーもまた、ジョニー・ホッジズの後継者のひとりであることを認識せずにいられない。