Anna Högberg Attack
Anna Högberg Attack のCD版を、レーベル直販で取り寄せた。
- アーティスト: Anna Högberg Attack
- 出版社/メーカー: Omlott
- 発売日: 2016/08/15
- メディア: MP3 ダウンロード
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全員女性によるスウェーデンのフリージャズセクステット。リーダーのアンナ・ホグバーグは、マッツ・グスタフソンの50歳記念コンサートに出演したり(昨年7月24日参照)、The Thing の「Shake」にゲスト参加していたり(15年11月8日参照)、ロッテ・アンカーや最近大きな注目を集めているメテ・ラスムッセンらとともに Fire! Orchestra に参加したり(昨年5月16日参照)、というかラスムッセンの参加以前から同オケのメンバーだったり(14年8月5日参照。ちなみにこの時はグループメンバーの Elin Larsson も参加)、ここ何年かマッツにやたらと引き立てられているアルトサックス奏者である。グループはフリージャズから抒情的な演奏まで幅広く(じゃっかん渋さを思いださせる)、6人すべてに活躍の機会が与えられ、非常にバランスがいい。なお個人的にはホグバーグでなく、2人のどちらかは分からぬながらテナーがとても印象に残った。
William Parker Quartets - Meditation / Resurrection
ウェアの2枚組と同時発売の、ウィリアム・パーカーのこれまた2枚組を聴く。
- アーティスト: William Parker
- 出版社/メーカー: Aum Fidelity
- 発売日: 2017/06/23
- メディア: CD
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In Order To Survive : Cooper-Moore(p) Rob Brown(as) William Parker(b) Hamid Drake(ds)
カルテッツとは上記のように、パーカーのレギュラーカルテットと「In Order To Survive」のこと。前者はオーソドックス寄り、後者はフリー寄り。それぞれ4人のうち3人が共通しているが、両グループとも以前に聴いた作品とはメンバーが違っていて、レギュラーカルテットのトランペットはルイス・バーンズからジャラル・カルバート・ネルソン(知らなかった人だが、バーンズよりもベテランらしい)に、In Order To Survive のドラムはハミッド・ドレイク(私が以前聴いたときはスージー・イバーラだったのでそうとう昔だと思うけど、その後変遷があったかどうかは知らない)へと交代している。パーカーとドレイクはやはりスペシャルな存在で、クーパー・ムーアも同様であるが、惜しいかな管の2人がやはり弱い(ロブ・ブラウンはときどき展開がはまると面白い演奏をするけれど)。ウェアのアルバムより先に聴いておくべきだっかもしれない。
David S. Ware Trio / Live in New York, 2010
デヴィッド・S・ウェアのアーカイブ音源シリーズ、第3弾が届いた。
- アーティスト: David S Ware
- 出版社/メーカー: Aum Fidelity
- 発売日: 2017/06/23
- メディア: CD
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2007年前半までで黄金カルテットに終止符を打ったウェアは、同年後半に2つのグループを立ち上げた。ジョー・モリス、キース・ウィティー、ギレルモ・ブラウンとのニューカルテット、そしてウィリアム・パーカー、ウォーレン・スミスとのトリオである。しかしニューカルテットのベースとドラムもすぐにトリオと同一になり、翌年ニューカルテットによる「Shakti (Dig)」(09年2月8日参照)が吹き込まれ、さあこれから第二の黄金期かと思われた矢先、ウェアは大病に臥せってしまう。翌09年10月、1年ぶりに復帰したウェアはまずソロ「SATURNIAN (SOLO SAXOPHONES, VOLUME 1)」(10年3月13日参照)で復活の狼煙を上げる。そして年末にサックス生活50周年を記念して満を持して吹き込んだ作品が、休養前と同じトリオメンバーによる「ONECEPT」(10年9月24日参照)であった。10年はソロとトリオがウェアの活動の基軸となり、10月にトリオでライブ録音されたのが本作となる。なお翌年には若手時代からの同志クーパー・ムーアらと新たなカルテット「Planetary Unknown」を結成し、2枚のアルバム(12年7月21日参照)を遺した後、再び休養に入ると、12年10月ついに還らぬ人となってしまう(12年10月19日参照)。
本作には2010年10月4日、NYのブルーノート(!)で行われたライブ2セットが、2枚組に収められている。曲名はなく、すべて即興だと思われる。ウェアはストリッチ(ストレートアルト)とテナーを駆使するが、ストリッチの使用頻度が多い。グループとしてのサウンドは、トリオらしく空間がスカスカしているけれど、その分ウェアの音が真に迫ってくる。この復帰後、結果として晩年となってしまった時期の彼の音は「Saturnian」あたりに顕著だが、休養前の全盛期とは別の意味で凄くて、もうすでにこの世の人でないような、露骨で剝き出しの魂が発した音、という印象を受ける。本作ではとくにストリッチによる演奏にそれを強く感じ、途中、思わず落涙しそうになった。このストリッチを聴きながら、チャールズ・ゲイルのアルトを思い出したりもしたのだが、こういう音を出せる人は本当に少ない。管楽器の音というのは皆、剥き出しの感情の発露だと思っている人が多いかもしれないけれど、ウェアの音を聴くと、多くの管楽器奏者の音はいろんなものを纏っていることが、逆説的によく分かる。
なお第4弾は、休養前の2008年5月、ジョー・モリスらとのニューカルテットで「Shakti」を吹き込んだ直後、フランスでのライブ音源のようだ。こちらも今から楽しみ。
エリック・ドルフィー生誕89年
Since June 20, 1928
YouTube にあった動画を上げておきます。
エリック・ドルフィーのドキュメンタリー、1時間半の後、いつの映像かは知らないが、ミシャ・メンゲルベルク、ジャック・スコールズ、ハン・ベニンクがそろった『レジェンダリー・トリオ』の演奏が挿入されている。 ドルフィーはもちろん、3月に鬼籍に入ったミシャ、昨年12月に亡くなっていたスコールズ追悼も込めて。
FFEAR - Mirage
- アーティスト: FFEAR,Chris Washburne & Syotos Band
- 出版社/メーカー: Jazzheads
- 発売日: 2012/06/12
- メディア: CD
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Amir ElSaffar のクインテットや Two Rivers Ensemble に参加しているオーレ・マティセンのテナーサックスが好きなのだが、常々ほかの作品も聴いてみたいと思っていた。ノルウェー出身で、渡米してバークリー音楽院に留学、ボストンでの活動を経てマンハッタン音楽院に入学、サックスをボブ・ミンツァーに、アレンジをマリア・シュナイダーに師事、現在はコロンビア大学ジャズ科の講師を務める。という経歴を聞けば、ジャズ本流のプレイスタイルを想像しがちだけれど、実際にはリズムフィギュアが独特で音遣いも「飛び」が大きい個性派である。FFEAR(Forum For Elctro-Acoustic Research)はマティセンと、トロンボーンのクリス・ウォシュバーンとの双頭カルテット(と思われる)。金管との2管体制はアミル・エルサファーのグループと共通で、マティセンも同じように活躍していてうれしい。なおメンバーのペール・マティセンは彼の弟で、調べてみるとなんとほかにも2人の兄弟がいて、つまり4兄弟いずれもがジャズミュージシャンなのだそうだ。
The Andrew Hill Jazzpar Octet + 1 / The Day The World Stood Still
アンドリュー・ヒルの未聴作品を入手。(こんな日に意味深なタイトル)
- アーティスト: Andrew Jazzpar Octet Hill
- 出版社/メーカー: Stunt
- 発売日: 2004/06/29
- メディア: CD
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録音は2003年4月。遺作となった「Time Lines」(05年。記事は07年12月3日参照)と、palmetto records のオーケストラ作品「Beautiful Day」(02年。2月19日参照)の間の時期にあたる。デンマークの「The Jazzpar Prize」とかいう賞を受けた記念として、当時のレギュラートリオ(「Beautiful Day」と同じ)とともに渡欧し、ヨーロッパのリード楽器ミュージシャンたちを集めて結成されたオクテットによる、デンマークとスウェーデンにおけるライブ盤ということらしい。「Beautiful Day」と同様、全曲がヒルによる作曲で、メンバーたちに広い自由を与えながら、独特の異世界美をつくりだす。リューダス・モツクーナスをはじめ、ソリストたちもかなり頑張って「個」の強さを発揮するが、ヒルのピアノはやっぱり格がちがって、彼が現れるとすべてが後景にかすむ。タイトル通り、まさに世界が静止するかのように。
参考動画(試聴)
www.youtube.com
太田惠資 × 加藤崇之 × 坂本弘道 / エレクトリック・トリオ
fulldesign records のアルバムをもう一枚。
- アーティスト: 加藤崇之,坂本弘道太田惠資
- 出版社/メーカー: インディーズ・メーカー
- 発売日: 2017/05/10
- メディア: CD
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これは凄い。同メンバーによる一昨年の「アコースティック・トリオ」(持ってるがブログ非記載)に続くエレクトリック編で、こちらのほうが断然好みですね。私の言語能力では上手く説明できないけれど、とにかく3人があらゆる音楽要素をどんどんぶち込み、過激で、美しい音風景を幻視させてくれる。便宜上6つのインプロヴィゼーションで構成されるが、全体でひとつの組曲のようなもので、計43分というデジタル時代には短めといえる収録時間も、感覚が引き伸ばされ伸縮されて、長くも感じるしあっという間でもあり、めくるめく音世界を旅した気分になれる。とほうもない傑作。