Nonoko Yoshida - Lotus
待望の吉田野乃子ちゃんのファースト・ソロCDが届く。
Nonoko Yoshida - Lotus
(Nonoya Records, 2015)
吉田野乃子(as)
これは大変な傑作なのである。みんな聴くように!!
以上。
・・・あ、いやいや。もちろん聴いてもらえばわかってもらえるとは思うけど、これではいくらなんでもあまりと言えばあまりに不親切なので、補足かたがた少し内容の説明をする。
野乃子ちゃんが最近取り組んでいるソロプロジェクトの、現時点で達成した成果をぎゅっと詰め込んだ初アルバムである。多重録音を駆使して精緻に構築された演奏のほか、完全ソロなど全7曲。以前、彼女のソロのデモCDRを紹介したことがある(7月3日参照)けれど、その5曲がピュリファイされた上、それ以外はタイトル曲(インプロヴィゼーション)と、ライブでもおなじみの北海道弁に由来する「Uru-Kas」が収められている。収録時間は計35分足らずだが、その密度はあまりにも濃い(レコーディングには5時間半かかったらしい)。
多重録音の演奏は、ライブ現場での同時録音や宅録だったデモCDRと違い、きちんとしたスタジオでおそらく曲によっては後からの重ね録りもしているのではないかと思うが、その分、精密に配置されたサックスの合奏による精妙なサウンドが楽しめる。だから、このアルバムを聴く人で高度なオーディオを持っていない(私のような)人は、一度はヘッドフォンで聴いてみることをお奨めしたい。
タイトル曲は完全ソロのインプロヴィゼーションであるが、最近のソロ活動がループを使った演奏に比重を置いている一方で、これをタイトル曲に持ってきたことは個人的に大変喜ばしい。実は私がアルバム中最も好きなのはこの演奏で、彼女の持てる限りの多種多様の変な音やら高音と低音が同時に鳴っているような高度技術やらを総動員して、極めて稠密なインプロを展開している。圧倒的に素晴らしい。タイトル(蓮)から連想できるように、極楽無上の音楽なのである。そういえば以前、彼女のループソロを初めて聴いた時に「完全無伴奏ももっと聴きたい」と要望したことがあったが、その時に彼女は「サックス奏者が皆そろいもそろって無伴奏ソロばかりやって、ほとんどのことはやりつくされてしまっているので、自分がやる意味のある演奏でなければしたくない」みたいなことを言ってた(あくまで私の解釈です)ので感心した記憶があるが、いやいや、こういうことができるなら大丈夫でしょう。できれば今後、この方向でもソロアルバムを作ってもらいたいと切に希望する。
とにかく、彼女の動向には今後も要注目である。彼女は私よりも年下なので、私が死ぬまで彼女の演奏を見守り応援し楽しむことができるのは、ファンとして幸いである。(ちなみに、彼女が高校時代に師事していた小樽在住の奥野義典氏はその昔、わたしが在籍していたジャズ研によく練習に来ていて何度も押しかけて教えを請うたことがあり、本人にも当時「弟子」を名乗ることを(酒の席で渋々)了承してもらったような過去もあって、吉田隆一さんが彼女を妹(設定上)と呼ぶように、私も「妹弟子」と勝手に思っていたりするのです。苦笑)
なおアルバムは自主製作販売なので、購入希望者は彼女の Twitter か Facebook から直接メッセージを送ってください。よろしくお願いします。
https://twitter.com/nonokoyoshida
https://www.facebook.com/nonoko.yoshida.9
追記・アカウントを持っていない人は直接メールで連絡できる(コメント参照)。
野乃屋レコーズ nonoko_yoshida@yahoo.co.jp
参考動画(追加あり10/28)
ところで、彼女からは事前に「いろんな仕掛けがしてあるので楽しんでください」というメッセージを受け取っていたのだけれど、「仕掛け」というのが何なのか実は未だによくわからないのです・・・(下記コメントに回答あり)