at the Five Spot, Vol. 1
「Live at the Five Spot 1」(prestige)。61年、全3曲47分。Dolphy(as,bcl)Booker Little(tp)Mal Waldron(p)Richard Davis(b)Ed Blackwell(ds)。
1年前の今日、最初に取り上げたアルバムはこれだった。そのとき、ぼくはこう書いた。
このアルバムが大好きな理由は、世評に高い「Fire Waltz」ではなく、B面(3曲目)の「The Prophet」にある。この曲のアドリブが、音色といい、スピード感といい、跳躍力といい、構成力といい、実にすばらしいのだ。思わず叫びたくなってしまう。個人的には、ドルフィーのキャリア前半におけるアルトによるアドリブの最高到達点だと思っている。
(昨年11月6日)
このアルバムも当然、ぼくの無意識刷り込みの1枚であって全曲大好きなのだが特に③「The Prophet」が、「Get Up With It」における「Rated X」のような位置にある、ということだ。
では、補足の意味も込め、実際の曲に即して。AABA、1コーラス2分弱のゆったりした曲だ。B部分を、ドルフィーは倍テンでアドリブを取る。これが既にたまらない。ゆったりしたA部分を経て、ドルフィーのソロが出る。再び倍、辛抱たまらんっという具合の急速調で、しびれる。最初のヤマは、ソロ2コーラス目に取りかかる前後にやってくる。ドルフィーの衰えることを知らぬ急速ソロを、ブラックウェルがさらに倍のテンポで挑発する。ここだ。ここがとってもスリリング。ひとしきりやった後、5分20秒ごろに通常の倍テンポに戻りいったん落ち着く。だがテンポが落ち着いただけで、ドルフィーの熱いソロはとどまることを知らない。再びグングン盛り上げてゆく。そして7分20秒すぎの、あのフレーズに到達する(観客(もしくは共演者?)も絶妙のタイミングで「イエーッ」と)。く〜っ、たまらん。その後30秒で、ドルフィーの3コーラスのソロが終わる。ジャズ研時代、こんなアドリブができたら死んでもいい、と思っていた至福の6分間だ。
さて。あまりにもドルフィーが素晴らしくて、ぼくの興味は既に尽きている。残りの15分間はオマケ。リトルのソロがテンポを落ち着かせるが、実はテンポそのものが落ちている。1コーラス、2分10秒ぐらいになり、そのままエンディングを迎える。
当時、ドルフィーは33歳1ヶ月。げっ、自分は超えてしまった。ちょっとショック。
ところで、現在の国内盤には②「Bee Vamp」の別テイクが収録されている。スタジオ録音ならいざ知らず同日に同じ曲を演奏したとも考えにくいのだが、これはどういう経緯で発掘されたのだろう。ご存知の方は教えてください。