あうとわ~ど・ばうんど

Interstellar Space

John Coltraneのアルバムの中では、この「Interstellar Space」が一番好き。
以前にも言ったがコルトレーンは晩年のほうが好きで(とは言っても、そんなに持っていないのだけれど)、「Live in Japan」や「Live at the Village Vanguard Again!」あたりも大好きなのだが、難点を言えば密度が濃くて長すぎるため、聴く前は体調を整えて気合を入れなければならないことだ。その点この作品はコルトレーンとラシッド・アリのデュオ、演奏はより高密度化しているものの、アルバムレコーディングのため曲は長くて10分程度にまで贅肉が削ぎ落とされ、集中力の持続を可能にしている。
たまに「コルトレーンは好きだけどフリーはちょっと…」と抜かす人がいるが、そういう人はこのアルバムの1曲目「Mars」を聴いてほしい。ジャイアントステップスからモードを経てフリーに突き進んだコルトレーンが、それまで培った持てる限りの技術をすべてブチ込み、演奏を非常に精緻に構築しているのがよく分かるはずだ。ちなみに今「ジャイアントステップスからモードを経てフリーに突き進んだ」と慣用句的に書いてしまったが、このアルバムはフリーじゃありません。でもフリー。というか、そんなことはどうだっていい(笑)。とにかく極上のジャズ。
曲は他に「Venus」「Jupiter」「Saturn」と、すべて惑星の名がつけられている。自分の持っているCDはさらに「Leo」「Jupiter Variation」が加わって全6曲となっている。言わずもがなだが、Marsは火星、Venusは金星、Jupiterは木星、Saturnは土星、Leoは獅子座。ちなみに火星は軍神、金星は美と愛の神、木星は主神、土星は農業の神ということを念頭に置いて、アルバムを聴くとなかなか面白い(余談だが、サンラのレーベルSaturnは、そのものズバリ土星)。
それにしても、ドルフィーと共演していた時代のコルトレーンは、自分にはイモとしか思えない(失礼)のだが、それから5年後、死の5ヶ月前のこの演奏。コルトレーン、ついにここまで到達せり、の感深し。