あうとわ~ど・ばうんど

渋全

渋さ知らズの新作「渋全」を聴く。
avex ioからのメジャーデビュー作(もしかして今年、エーネーション(だっけ?)に出演したりするのだろうか?)ということで、下手をするとCCCDではないかと心配していたのだが、どうやら違うらしく一安心。
全10曲68分。タイトル通り渋さ知らズのベスト盤的作品。④「すてきち」が渋龍から(この曲、最初は「すてちき」じゃなかったっけ? いつの間にか「すてきち」になってしまった)、⑤「校庭」がSomething Differenceから(どうして邦題は「ディファレント」なのだろう?)、⑥「火男」が渋旗から、⑦「Pチャン」も渋旗から(他に渋祭バージョンもありますが)のリマスタリング収録。ただし、どう変わったのか素人耳にはよく分かりません。逆に臨場感が薄くなったような気も…。
⑧「ワシントンポストマーチ」がCM曲の初CD化(約40秒)、⑨「悪漢」が渋星の別テイク・リマスタリング(当然だが、オリジナルのほうが良いです)。残る4曲が現メンバーによる新録で、①「ニューゲート」は新曲、②「渚の男」(オリジナルはDettaramen)、③「阿呆の王」(オリジナルは第1作渋さ道の1曲目)、ライヴではおなじみの⑩「ひこーき」が意外なCD初収録。といったところ。
個人的な感想。②と③、昔の渋さの曲のセルフカバーなのだが、当時の渋さの魅力であった無軌道なパワー、訳のわからない物悲しさ、そこはかとない可笑しさ、エロさ、危うさがすっかり消え失せ、しかしグループとしては洗練され、ヘルシーで強固な演奏になっている。それを進歩と呼ぶか、喪失と呼ぶか、個人的には微妙な気分だ。だが、過去のことをウダウダ言っても仕方がない。今の渋さを楽しもう。
最大の聴き所は、その②「渚の男」なのだ。若手テナーサックスの俊英、佐藤帆が、はちきれんばかりの高いポテンシャルをぶちまける。こう言っては熱心なファンから怒られるかもしれないが、片山広明も渋さでは今や完全なショウケースと化してしまっている(つまり、ワンパターン)。これからは、こういう若くて才能のあるミュージシャンにもっともっと前面に出てもらいたい。