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Mars Williams Presents: An Ayler Xmas

出た出た出た。待望のマーズ・ウィリアムスの新譜は、何と何と何と、彼が率いるアルバート・アイラー・トリビュートバンド Witches & Devils の17年ぶりとなる新作。しかもしかもしかも、クリスマス・アルバムというのだから訳が分からない。


Mars Williams Presents: An Ayler Xmas
(Soul What Records, 2017)
Featuring WITCHES & DEVILS : Mars Williams(saxes, toy instruments) Josh Berman(cor) Fred Lonberg-holm(cello) Jim Baker(piano, arp synth, viola) Kent Kessler(b) Brian Sandstrom(b, g, tp) Steve Hunt(ds, perc)


昨年のクリスマス1週間前、グループの本拠地であるシカゴにおけるライブ。前作「At the Empty Bottle」のメンバーから惜しくもヴァンダーマークが抜け、ジョシュ・バーマンとブライアン・サンドストロムが加わっている(結果的に2サックス時代よりも、本来のアイラー・グループのサウンドに近い)。アイラーの「Truth Is Marching In」やら「Spirits」やら「Omega Is Alpha」といった曲たちを、クリスマスソングと組み合わせて演奏するという、暴挙というか壮挙というか愚挙というか義挙というか応挙というか快挙というか妄挙(そういえばほぼ同じくだりを昔書いたことがあるが、今回も関係ない熟語が混ざっている)のような作品であり、ジャケットのヒゲはサンタクロースではなく、明らかにアイラーのものである。クリスマスソングを祝祭的に演奏しているという側面もあって、アイラー曲とうまくつながっている(まあさすがに「ジングルベル」は落差を感じるけれど)のが素晴らしい。しかしこのアルバムのリリースを、クリスマスちょうど1か月前のアイラーの命日でなく、アイラーの命日の1か月前、キリスト教の祭事ではないハロウィンにぶつけてくるのがよく分からないところではある。