あうとわ~ど・ばうんど

Andrew Hill - A Beautiful Day

年末年始にまとめて買った中古盤。最後の盤も、最初に聴いたのと同じアンドリュー・ヒル。

Beautiful Day

Beautiful Day

Andrew Hill(p) Scott Colley(b) Nasheet Waits(ds) Aaron Stewart(ts) John Savage(as, fl) Marty Ehrlich(as, cl, bcl, fl) Greg Tardy(ts, cl, bcl) J. D. Parran(bs, bcl) Ron Horton, Dave Ballou, Laurie Frink, Bruce Staalens(tp) Charlie Gordon, Joe Fielder, Mike Fahn(tb) José Davila(tuba)


アンドリュー・ヒルの魅力に開眼したのは(残念ながら)彼の死後に「Time Lines」を聴いてからだったが、ドハマりするきっかけになったのはその次に聴いた Palmetto レーベルの2枚、「Dusk」とこの「Beautiful Day」による所が非常に大きい。とはいえ、私が聴いていたのはレーベルサイトから試聴曲を直接ダウンロードしたCD-Rであって(なんと当時はmp3を全曲フルサイズで聴けて、それをそのままダウンロードできたのだから、良い時代であった。08年1月24日参照)、「Dusk」は後に中古できちんと入手したものの、本作は今回入手するまで結局買わず仕舞になってしまっていたのだった。

しかし久しぶりに聴いたら、やっぱり良いなあ。ヒルのオーケストラはメンバーに大きく自由なスペースを与えながら、だが彼独特の美意識が隅々まで透徹している。オープニングを力強く飾る「Divine Revelation」は、タイトルになっているアルバムも存在する(「Divine Revelation」)が、まったく新しい命が吹き込まれており、その後も幽玄にして異次元美をたたえたヒルの作曲センスが味わえる。60年代の最初のブルーノート時代よりも、それ以後の彼のほうが個人的には好みですね(とくに晩年は信じがたいほど素晴らしい)。


試聴
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というわけで、年末年始の中古盤をこれで全て聴き終えた。なお、ブログに書いたものが31枚、書かなかったのは6枚、という結果であった。

mrafi - la terra di giubba

イタリアジャズの旧作もついでに取り寄せてみた。

LA TERRA DI GIUBBA

LA TERRA DI GIUBBA

Edoardo Marraffa(ss, as, ts) Pasquale Mirra(vib) Antonio Borghini(b) Cristiano Calcagnile(ds)


イタリアのジャズサックスで個人的に大注目しているのは、アルト・バリトンが PBB で、テナー・ソプラノならばエドアルド・マラッファだ。この作品は2004年録音だが、その後もグループは定期的に活動していて、09年にも作品を出しているよう(だけど入手は難しそう)である。メンバーはマラッファのほか、PBB の Jümp The Shark にも参加しているヴィブラフォンの Pasquale Mirra、マラッファと Eco d'Alberi でも僚友となるベースの Antonio Borghini、やはりマラッファと Casino Di Terra というグループで共演するドラムの Cristiano Calcagnile。というカルテットで、オーソドックスながら硬派なフリージャズが披露される。それにしてもやはり、マラッファの音の何とコク深いことよ。演奏されている音楽は、その後の4人の活躍を知っていれば「途上」といったところだが、それゆえに貴い。グループは最近も活動しているようなので、ぜひとも現在の彼らのサウンドも記録として残してほしい。


参考動画
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Zeno De Rossi - Zenophilia

PBB 参加の新作がもう一枚届く。

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Zeno De Rossi - Zenophilia
Auand Records, 2017)
Piero Bittolo Bon(as, bass fl) Filippo Vignato(tb) Zeno De Rossi(ds, per, whistle)


これはかっこいい。先日の欲求不満を吹き飛ばす快作である。メンバーは PBB のアルト(1曲バスフルート)、Bread & Fox の「Big Hell on Air」にも参加して超絶プレイを聴かせた Filippo Vignato のトロンボーンに、リーダーのドラムというトリオ。PBB の作品ではないのに相変わらずの変則編成であるが、繰り返すけれど、これはかっこいい。全12曲は10曲がリーダーのコンポジションで、ドラマーらしくリズムに特徴のある曲が多く、PBB と Vignato は事も無げに一糸乱れぬアンサンブルワークやメチャクチャかっこいい濃厚なアドリブを繰り広げる。レーベルカラーのせいもあるだろうが、全体的にはコンテンポラリーなジャズというイメージだけれど、であるからこそ、あらゆるテクニックをぶち込んでバランス良くソロを組み立てる PBB の上手さ巧みさにあらためて舌を巻く。なお、残る2曲はなんと「タクシードライバーのテーマ」とオーネット・コールマンの「フィート・ミュージック」で、むろん両曲とも素晴らしい。いいかげん早く日本に来てほしい。(もし来日時、東京で平日にしかやらなかったとしたら、休みが取れなければ会社を辞める覚悟はできている)


参考動画(録音時の映像)
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Piero Bittolo Bon の過去記事アーカイブ(旧ブログ)

Tiziano Tononi and Southbound - Trouble No More… All Men Are Brothers

PBB 参加の新作が届く。

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Tiziano Tononi and Southbound - Trouble No More… All Men Are Brothers
Long Song Records, 2017)
Tiziano Tononi(ds, per, udu, gongs) Emanuele Passerini(ss, ts) Piero Bittolo Bon(as, bcl, fl) Emanuele Parrini(vln, viola) Carmelo Massimo Torre(accordion) Joe Fonda(acb, elb) Pacho(congas, bongos, per) Marta Raviglia(vo) Fabio Treves(harmonica) Daniele Cavallanti(ts)


オールマンブラザーズバンドのトリビュートアルバム。ということらしいが、かのバンドは名のみしか知らず、曲も聴いたことがあるような無いような(たぶん、無い)感じで、本作から受けたのもスピリチュアルジャズのようなロックフュージョンのような印象である。こういうのは詳しくないのでよく分からないが、好きな人は好きなサウンドなんだろう。ちなみにリーダーのドラマーは、ドン・チェリーオーネット・コールマンに捧げた作品がそれぞれある人らしい(知らなかった)。とはいえ私は PBB が活躍してくれさえすればそれで良いので、期待して聴いていたのだが、うーむ、メーンでサックスソロを披露するのはソプラノとかテナーばかりではないか。まあさすがに PBB がフィーチャーされないなんていうことは無くて、登場するや存在感抜群で耳を惹きつけられるものの、アルトのソロが思いのほか少なくて欲求不満が募ってしまう。今月はもう一枚、彼が参加した新作がもうすぐ届くはずなので、そちらに期待しよう。


試聴
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Anthony Braxton - 23 Standards (Quartet) 2003

年末年始に買った中古盤(まだ聴いてる)のうち最も大物をようやく聴き終える。

23 Standards Quartet 2003

23 Standards Quartet 2003

Kevin O'Neil(g) Kevin Norton(per) Andy Eulau(b) Anthony Braxton(sax)


1月10日に聴いた「Anthony Braxton Quartet - 8 Standards (Wesleyan) 2001」と同じメンバーによる4枚組。やはりブラクストンが曲の枠を食い破ることなくソロを取り、ブラクストン以外の3人がまっとうにジャズを演奏している。のであるが、前期作から2年が経過しているためか、ブラクストンが曲の枠内ぎりぎりを突いてソロに「らしさ」が感じられ、残る3人も時に奔放に攻めるようになっているので、聴き難さはそれほどでもない。収録されている23曲は商品紹介ページを参照してもらえばよいが、渋めの選曲という印象(もっとも、スタンダード集のスタンダードな選曲というのはよく知らない)で、4枚の中では2枚目が最も好みかな。


試聴
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多田誠司 / スガダイロー ~ 残照

多田氏とスガさんのデュオ新作を聴く。

残照

残照

多田誠司(as, fl) スガダイロー(p)


前作「We See!!」(14年12月22日参照)から、さらに深みを増している。冒頭のスガ氏のオリジナル「黒坊主参り候」から最終曲「Fire Waltz」まで、すべての曲が滋味深く、とくにタイトルチューン「残照」の情趣深さには首を垂れて感じ入るしかない。フリーもストレートアヘッドも関係なく、ただただ一個のジャズとして、素晴らしい。前作リリースから2年間、ツアーやライヴを重ねてきた成果、ということなんだそうだけど、まあこれは前作の感想でも書いたが、いいかげん北海道に来てくれませんかね?

Brötzmann / Parker / Drake - Never Too Late But Always Too Early

年末年始に買った中古盤がまだいくつか残っている。

Never Too Late But Always Too Early

Never Too Late But Always Too Early

Peter Brötzmann(ts, tarogato, acl) William Parker(b, doussin gouni) Hamid Drake(ds)


ペーター・コヴァルトに捧げられた作品。ということになっているが、演奏している人たちはたぶん演奏中はそういうことは忘れている(ブロッツマンなんかはとくに)と思うが、パーカーとドレイクによって繰り出される心地よいリズムに乗って、ブロッツマンが気分よさそうに吼えまくっている。観客の反応も、ふつうのフリージャズのそれとは違った熱狂ぶりで、その気持ちもたしかによくわかる。