あうとわ~ど・ばうんど

Paal Nilssen-Love / Ken Vandermark - The Lions Have Eaten One of the Guards

気づいてみたら、ヴァンダーマークの作品をかつてのように何でもかんでも求めるようなことはしなくなってしまったものの、こうして時折「これは外せない」と思わせるアルバムをリリースしてくれるから、やっぱりやめられない。

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Paal Nilssen-Love / Ken Vandermark - The Lions Have Eaten One of the Guards
Audiographic Records, 2015)
Ken Vandermark(reeds) Paal Nilssen-Love(ds, per)


この2人のデュオアルバムもいつのまにか通算10作品近く達していて、ニルセンラヴとサックス奏者との一連のデュオ作品の中で最も「長寿シリーズ」となっている。どうせいつも一緒じゃないか、と言われるかもしれないが、毎回聴いている身としては、前のアルバムのことは程よく忘れているし、どれを聴いてもいつも同じように興奮するので全く問題ない。というか、同じ組み合わせを何度か聴いてすぐに飽きるようでは、そもそもフリージャズファンなど続けられないのですよ。

誰に主張しているのかよく分からないが、それはともかく、ヴァンダーマークのプロジェクトの中で、このデュオと DKV トリオは別格である。それは作品数や、コンスタントにアルバムが出続けていることでも分かる。このデュオで私が毎度惹きつけられるのはやっぱり、ヴァンダーマークのプリミティヴな衝動の発露とでもいうべき単純で力強いリフの繰り返しと発展と解放がもたらすカタルシス、その快楽と興奮を極限まで引き立ててくれるニルセンラヴの多彩なドラミング、に尽きる(もちろんその要素は DKV トリオにも共通である)。

本作もこれまでのアルバムと同様、のっけから熱い。最初から湯気が朦々というか、猛風吹き荒ぶというか、火柱が立ちのぼるというか、喩えはどうでもいいけれど、とにかく、いきなり熱い。中盤はクラリネットとブラシで表面上はそれほど熱く見えない展開もあるが、内部ではマグマが沸々と煮え立っていて、突如の水蒸気爆発で終盤となり、デイサイト質の粘っこい溶岩が止めどなく噴き出し、あっという間にゴツゴツとした円頂丘を形成していき、これ以上は積み上げられないと思った極点で終局を迎える。毎度毎度、分かっちゃいるけどたまらんのである。


参考動画(短いけれど、どうせこの2人の動画はいっぱいあるので、CDに収録されたライブに最も近い日付(翌日)の映像を挙げておく)

www.youtube.com



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