あうとわ~ど・ばうんど

Inner Ear - Return From The Centre Of The Earth

最初に聴いてピンとこなかったアルバムも、しばらく寝かせておけば味わいが生まれ、よく聴こえるようになる。などというのは虚妄なのであって、それは私が馬鹿耳であることを示しているに過ぎない。こういう場合、最初に妙な先入観や期待をもっていたために聴き所を間違っているということが多いのだ。このアルバムはそんな一枚。


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Inner Ear - Return From The Centre Of The Earth(bocian records, 2014)
Mikołaj Trzaska(sax, bcl) Steve Swell(tb) Per-Åke Holmlander(tuba) Tim Daisy(ds)


Mikołaj Trzaska は、ケン・ヴァンダーマークの Resonance Ensemble にも参加しているポーランドのアルトサックス・バスクラリネット奏者で、そのアンサンブルでのアルトプレイが非常に印象的だったので本作を購入してみた。ところで、私は特にサックス奏者を聴くときに生じがちなのだけれど、どうしてもサックスを「主役」として聴いてしまう癖があって、おそらくこれが間違いだったに違いなく、(収録時間が30数分と短いこともあってか)うーんあんまり活躍せんなーなどと、期待外れに感じた部分がアルバムの印象を支配した、というところだろうか。

1カ月ぶりに、以前よりはフラットな気分で聴いてみると、4人皆が主役であり引き立て役でありそれぞれが絡みつくように演奏を展開するグループ表現が非常に心地よかった。それにしても、この人のアルトはやはり非常に良い音で、スウェルのトロンボーンと相性が良いのだな。こういうことが今さら分かるというのも、やっぱり馬鹿耳に違いない。


参考動画