あうとわ~ど・ばうんど

Everybodys Mouth's A Book

スティーヴ・リーマンやヴィジェイ・アイヤー、ルドレッシュ・マハンサッパといった若手、あるいはマーク・リボーやジェームス・ブラッド・ウルマー、ワダダ・レオ・スミス、AECといった中堅・ベテランの作品をコツコツとリリースしてくれる、アメリカの要注目レーベル、Pi Recordings。実は、そのカタログナンバー1番こそヘンリー・スレッギルだった。このレーベル、そもそもスレッギルの作品を制作するために立ち上げたらしい。
はい。昨日に引き続き、スレッギルです。スレッギルは、サイドマンとしてはたまに聴いていたが、リーダー作はなぜか今まで聴かずにすごしてきてしまった。今回思いきってまとめて購入して、本当によかった。このまま知らずに過ごすと、一生損をするところだった。こういうふうに思えるのが、いい音楽の証だろう。
Everybodys Mouths a Book
さて、そのカタログ1番、「Everybodys Mouths a Book/Henry Threadgill & Make A Move 」。01年、全8曲50分。Threadgill(as,fl)Bryan Carrott(vib,marimba)Brandon Ross(elg,acg)Stomu Takeishi(elb,acbg)Dafnis Prieto(trap,ds)。
いや〜、面白い。スレッギルの音楽はとても摩訶不思議で、どこにでもありそうで何にも似ていない。どこまでが作曲で、どこからが即興なのか判然としないながらも、出てくるサウンドは実に明晰。スレッギルは時に鋭角的、時に詩情的に迫ってくる。ヴァイブがスパイスとなり、ブランドン・ロスのギターも変幻自在。たゆたう音の流れに身を任せているのが、ひたすら気持ちいい。なお、カタログ2番「Up Popped the 2 Lips/Henry Threadgill's Zooid」も、同時にリリースされたようだ。
もしかすると、オーネット・コールマンの次のカリスマはこの男なのかもしれない。と思った。