あうとわ~ど・ばうんど

朝朗

立花秀輝の名前を強く意識したのは、「U‐ウラン- Vol.5 マンスリーライブDVD」に収められた渋さ知らズの映像だった。「火男」で彼のアルトサックスがフィーチャーされていたのだが、一発で魅了されてしまった。もちろん渋さのアルバムは聴き続けていて、そういう名のサックス奏者がいることは知っていたし、CDで聴いていた(はずな)のだが。映像の力は大きい。
立花のサックスに惹きつけられた最大の理由は、これは彼には非常に失礼な話だが、「ああ、タイムの取り方といい、音の選び方といい、なんだか、すごくよく気持ちが分かる(気がする)なあ」というものだった。自分に、もっと才能があってもっともっと根気があったなら、こういうサウンドを目指していたんじゃなかろうか、と思ったのだ。
そして、その直後、あるCD屋で、ふと手に取った知らないグループのアルバムに彼が参加しているのを発見。運命的なものを感じて(笑)、すぐに購入したのが「朝朗/エスパソ」(may record)だった。03年、全6曲71分。柳原達夫(b)立花秀輝(as)工藤雄一(p,hk)橋本学(ds)。
立花のサックスはもちろんのこと、バンド自体もとてもまとまりよく、買った直後かなり愛聴した。③「スプートニク」⑤「榾火」の過激性もよいが、なんといってもタイトル曲⑥だ。70年代より連綿と続く『激しくも切ない』日本ジャズの正当な後継者と呼ぶべき演奏。今回久しぶりに聴き返してみても非常によくて、すごくニヤニヤしてしまった(←不気味)。