Live at 柳川
新譜から(DVD)。「武田和命 カルテット 1988 Live at 柳川 『ファンクール』」。全5曲65分。武田和命(ts)渋谷毅(p)川端民生(b)渡辺文男(ds)。
これは、なんて貴重なドキュメントだろう。ぼくがジャズを聴き始めたとき武田和命は既に亡く、生演奏に触れることはできず、もっぱらCDで聴くしかなかったわけだが、こうして動く武田和命を見ることができるとは。演奏内容も、昨年の発掘・復刻部門1位「Old Folks」が十分衝撃的だったものの、それを凌駕する素晴らしさだ。
武田和命の演奏に関して、コード展開がゆったりしたバラードこそ彼の真骨頂と思っていたが、それが偏見だったことが分かった。②「I Hear A Rhapsody」④「Bye Bye Blackbird」⑤「Let's Cool One」といった、ミディアム・ファストにおける武田のテナーのカッコよさといったら! 武田の熱演に押されてか、渋谷毅のピアノも普段の温かみ溢れる珠玉のソロではなく(これも偏見かもしれないが)、ドライヴ感たっぷりの伸びやかなフレーズが次々飛び出す(別のスタンダード曲のテーマも頻出)。川端民生の、間を生かした独特のベースソロもカッコイイ。
年末の発掘・復刻部門および映像・書籍部門1位は、今年も武田和命で決まりのようだ。