Flush Up
JERICHO23周年おめでとうございます。遠く離れた地から、お祝い申し上げます(って、直接言えよ、という気もしますが。はい。メールも送っときました)。
以前にも書いたことがあるが、ジェリコはぼくのジャズ感性の半分以上を育ててくれた心のふるさとである。と勝手に思っていて、帰省することとジェリコに行くことは、自分の中では、ほぼ同義語になっている。
ぼくがジェリコに初めて行ったのは、92年の春か夏。本格的に通いだしたのは、ジャズ研の先輩がアルバイトに入った93年からだと記憶している。当時のめぼしい新譜は大体この店で聴いたし、名盤(有名盤ではなく)もほとんどこの店で知ったはずだ。
ジェリコで聴いて気に入ったアルバムを買い求めることもしばしばだった(これは今でも、よくあります)。そのようにジェリコで聴いてから入手した最初の一枚が「Flush Up/森山威男カルテット」だった(かけてくれたのはマスターのS谷さんではなく、先輩だったが)。
全3曲41分。森山(ds)板橋文夫(p)望月英明(b)高橋知己(ts,ss)。77年、森山カルテットの初レコーディング作。これは大好きだなあ。森山、板橋はもちろん最高なのだが、高橋知己にとっても代表作なのではないか。こう言っては失礼かもしれないが、森山に煽られまくって(フレーズは結構単調なんだけど)限界ギリギリいやそれ以上のパワーを発揮している気がする。でも逆に言えば、森山グループのサックス奏者は究極のところ誰でも良くて(いや個人的には林栄一が理想なのだが、そういうことを言い始めると話がややこしくなるので止めておこう)、森山と共演することで皆、限界以上の力を引き出されるのではないか。
タイトル曲①もいいが、お気に入りは②「Softly, As In A Morning Sunrise」だ。昔の自分の演奏を知る人は信じないかもしれないが、ぼくが「ソフトリー」を演奏するときは、この高橋のテナーソロが常に念頭にあった。多大な影響を受けた作品である。
あ、そうだ。CD黎明期に出したきりで、テイチクに埋もれている良質な日本ジャズの数々、再発を強く強く求める。