あうとわ~ど・ばうんど

More News for Lulu

長いこと探していたアルバムを入手できた時、というのはやはり格別の喜びがある。音源を聴く前に、目的の半分以上が達せられた気分になってしまうぐらいだ。
というわけで、中古で「More News for Lulu/John Zorn, George Lewis, Bill Frisell」を購入した。92年、全15曲78分。Zorn(as)Lewis(tb)Frisell(g)。
ジョン・ゾーンがオーセンティックなジャズを演奏している作品と言えば「Voodoo/The Sonny Clark Memorial Quartet」を持っていたが、ケニー・ドーハムハンク・モブレーソニー・クラークフレディ・レッドの曲を取り上げた「News for Lulu」は、知人に教えてもらい知った。即、CDを借りCD-Rに焼いて何度も聴いた。「More」はその続篇。この作品ではドーハム、モブレー、クラーク、レッドに加えジョン・パットンの曲も演奏(なぜかミッシャ・メンゲルベルクも1曲紛れ込んでいるところが面白い)。
ジョン・ゾーンは、ジャズに対する深い知識と限りない愛情を持った人で、80年代以降に(正確に言えば70年代末からだが)ジャズを演奏するということがどういうことなのか、といったことを考え抜いているミュージシャンだと思う(だから90年代以降、彼がこういった演奏をしなくなるのも分かる気がする)。この作品でも、モダンジャズ黄金期50年代のハードバップの名曲たちを題材に、バップイディオムを基調としつつ決して回顧主義では終わらない刺激的な演奏を繰り広げる。お気に入りは、ドーハムの名曲⑨「Lotus Blossom」。ここでのゾーンのアルトは、泣けます震えます笑えます。