Out There
一昨日の日記が、やっつけ仕事気味だったので反省し、改めてドルフィーについて書くことにする。「Out There/Eric Dolphy」。60年、全7曲34分。Dolphy(as,bcl,cl,fl)Ron Carter(cello)George Duvivier(b)Roy Haynes(ds)。
このアルバム、大好きである(大好きでないドルフィーのアルバムがあるのかと突っ込まれると困るが)。まず、この編成。今では珍しくない(といって、よくあるわけでもない)が、60年当時は相当に珍しかったのじゃなかろうか。また、ドルフィーのリーダー作で、ピアノもヴァイブもいないのも珍しい。そして、ロン・カーターのチェロはフロント扱いなので、ドルフィーのソロ中はトリオ編成になる。これは貴重。
たとえば①「Out There」、ロン・カーターの訳の分からないアルコソロの後、ドルフィーのアルトが登場、サックストリオになる。無調感に溢れた息の長いフレージング、時折とぼけたフレーズも顔を覗かせる。実にスリリング。よくドルフィーはフリーか否かという論議があるが、これを聴けば、フリーでないことぐらいすぐ分かる。おまけに、取り立てて変わったことをやっているわけではない。たぶん譜面に落としても、アドリブ方法論という部分では特異な点は見つからないはず。節回しというか、歌い方というか、に特徴があるだけだと思う(この時代に限って言えば。後年はスタイルが変わるので当てはまらないかも)。ま、細かく分析したことがない(できない)ので、想像で言ってますが(間違ってたら教えてください)。
名曲ブルース②「Serene」(bcl)、ミンガスに捧げた③「The Baron」(bcl)、そのミンガス作の不思議なムードを持った④「Eclipse」(cl)、フルートが小気味よく飛び跳ねる⑤「17 West」、たまらなく美しいバラード⑥「Sketch of Melba」(fl)、不穏な曲想に官能的なアルトの音色が映える⑦「Feathers」など、どの曲も素晴らしいが、チェロはいらない(笑)。