あうとわ~ど・ばうんど

Compostela

昨日名前が出たついでに、今日は久しぶりに篠田昌已がらみの音源を聴いていた。自分が篠田を聴くようになったのは、92年に彼が34歳の若さで亡くなった後、オフノートやTzadikからCompostelaのCDが何枚か出て「そういえばこの人、生向委の1枚目に名前が入ってたなあ(ただし全く印象なし)」と何気なく購入してから。チンドン・歌謡曲・クレツマー・東欧・アイリッシュ・ジプシー・アルゼンチン・クラシックetcが混ざったような、懐かしいような物悲しいようなサウンドが実に心地良い。
篠田・中尾勘二・関島岳郎のCompostelaのアルバムはどれもほとんど同じような曲が収録されていて、どれか1枚といえばベスト・オブ・ベスト的選曲のされた「Wadachi」(tzadik)がよかろうが、ここでは篠田の生前発表された数少ないアルバム(死後のものを含めても少ないが)から「Compostela/篠田昌已」(90年)を取り上げたい。
全12曲49分。篠田(as,ss,bs)中尾(tb,ss)大熊亘(p,xylophone,cl,chorus)駒沢裕城(g)北村賢治(p,org,chorus)関島(tuba)西村卓也(elb,chorus)久下惠生(ds)今井次郎(vo)高田光子(チンドン)高田千代子(ゴロス)。幻のレーベル(?)「puff up」(篠田の他、清水一登やソリッドブラスの初アルバムを出した面白いレーベルだった)の記念すべきカタログナンバー1番の作品である。
好きな曲は⑦⑨⑩の3曲。どれもCompostelaのレパートリーとして、お馴染みの曲だ。順に行く。⑦「S-1」、フリーなピアノと、続く篠田のアルトが良い。⑨「同志はたおれぬ」、篠田アルトの奏でる悲しいメロディーが沁みる。そしてベストは⑩、ヴィクトル・ハラの「耕す者への祈り」。篠田のアルトの深い音色と素晴らしいメロディーが、胸に深く深く突き刺さる。後半は、フリーキーなトーンで、さらにグイグイと迫ってくる。まさに絶唱林栄一の「平和に生きる権利」や「ナーダム」が好きな人にもオススメ。