あうとわ~ど・ばうんど

Private

何も突然こんな珍盤を、という気はするが、久々に聴いて唸ってしまったので取り上げよう。「Private/岡淳」(03年)。全14曲65分。岡淳(sax,fl,etc)のソロパフォーマンス。オーバーダブ一切なし。ディレイもエフェクトもパーカッションも、ぜーんぶその場で同時並行の一発録り。
テナーソロでしっとり歌う③「Que Sera,Sera」⑥「Skating in Central Park」、足でカウベル叩きながらの④「Love for Sale」、インド風フルートの⑨「ST. Thomas」、ディレイ(足でツマミ操作)が効果的に利いてカッコイイ⑫「The Sidewinder」、篠笛によって和風情緒が見事に溶け込んだ⑬「Naima」など聴き所が多いが、個人的には何と言っても、名曲「パンチパーマちりちり」3ヴァージョンだ。特に、サンプリングディレイを使って歌を重ねながら、テナーでブロウする最終曲のライヴ・ヴァージョンが好きだ。CDを聴き終わった後、頭の中に「パンチパーマ、パンチパーマ」のフレーズがこびりついて、しばらく離れない。そうそう、この翌年の江藤良人とのデュオ「Punch!」も面白かった。
余談だが、知人にその2枚のアルバムを貸したら物凄く気に入った。その知人と飲みに行ったとき、知人が突然「パンチパーマ、パンチパーマ」と歌い出し、自分もいい気分で「ちりちり、ちりちり」と裏声で合いの手を入れ、合唱。その後も「ビート de ステテコ」や「Yesterdays」のメドレー。あれは一体どのぐらい歌っていたのだろう? 周囲の客が気持ち悪い生物を見るような目で見ていた。ような気がする。いい歳して何やってんだか。