あうとわ~ど・ばうんど

Junkanoo

今を遡ること十数年前、Barbara Dennerleinというドイツ人女性オルガン奏者の「That's Me」のジャケット写真にヤラレちゃった男性ジャズファンは、意外に多いのではないかと思う。恥ずかしながら、自分もヤラレちゃった口で、その後何枚か彼女のアルバムを購入してしまった。その中で、最もよく聴いたのが「Junkanoo」(97年、Verve)である。
全9曲69分。Dennerlein(org,syn,p)Don Alias(per)Randy Brecker(tp,flh)Dennis Chambers(ds)Thomas Chapin(fl)Frank Colon(per)Howard Johnson(bs,tuba)Frank Lacy(tb)Joe Locke(vib)David Murray(ts,bcl)Lonnie Plaxico(b,elb)David Sanchez(ts,ss)Mitch Watkins(g)。
全員が一堂に会しているわけではないが、このちょっと微妙な豪勢さ加減がよい。音楽の種類は一言でいえば、コンテンポラリージャズということになろうが、ファンキージャズ風だったりアシッドジャズ風だったりスムースジャズ風だったりと、幅は広い。自分が好きなのは、冒頭のリフがかっこいい①「A Cat Strikes Back」、 ダークな曲想の④「Nightowls」、さわやか系フュージョン⑦「Visions」、ディナーリンがアコピを弾きヴァイブと絡む情感豊かな⑧「Andre's Mood」。
ランディ・ブレッカーやデヴィッド・マレイ、デヴィッド・サンチェスなど個性豊かなホーン陣も、相応にソロスペースを与えられる。唯一、個人的に不満なのは、トーマス・チェイピンがフルートで1曲のみの参加だということ。98年に40歳で夭折した、この天才の(できればアルト)サックスソロをフィーチャーしてくれていれば、もっともっと愛聴盤になったのに、と思う(余談だが、その昔チェイピンを教えてくれたのは、今はないPという店のY山さん。一度だけ(ジャズに興味のない)女性を連れてPに行ったことがあるが、自分は、当時ハマッていたチェイピンをリクエストした。Y山さんは「本当にいいの?」と言ったんだが…。うぅ、そのぉ、なんというか、たぶん、えーと、懐かしい思い出…だと思います)。