あうとわ~ど・ばうんど

Sax Workshop

これはまた、なんて素晴らしい発掘CDなのだろう。幻のグループ、サックス・ワークショップの82年1月の音源「ライヴ・イン・浜松」(aketa's disk)が出た。わが家に届いたのは先日だが、先月末の発売直後に届いていれば、昨年の【発掘・復刻部門】ベスト1を「Old Folks」と争ったのは間違いない(12月30日参照)。
メンバーが素晴らしい。松風鉱一(as,ts,bs,fl)沢井原兒(sn,ss,as)梅津和時(as,cl,bcl)松井洋(g)清水(当時は国安)くるみ(p)山崎弘一(b)宮坂高史(ds)。このフロントラインを見て興奮しないジャズファンなどいないだろう(もしかするといるかもしれないが、当ブログ読者にはいないと信じる)。3枚組全9曲170分。1曲10分以上、長ければ30分という長尺ナンバーのオンパレードだが、全く飽きさせない。
1枚目1曲目、おなじみ「Waltz for Aketa」。いきなり沢井、梅津、松風のアルト3連発で、ハートをグッと鷲掴みにされる。2曲目のメンバー紹介を飛ばして、3曲目「Warm Pack」。松風fl、梅津Bcl、沢井ssのリレーが見事。
2枚目1曲目は名曲「What Masa Is…She Is Out To Lunch」。松風ts、清水pが情感豊かに迫ってくる。そして2曲目、怒涛のモーダルチューン「Step」だ。松風、沢井、梅津の順でグルグルとアルトソロを廻してゆく。トリッキーな松風、主流派寄りの沢井、自在性の梅津と、それぞれのキャラも立っている。やがてリズム隊が止まり3人だけの世界に。いつの間にか全員が楽器を持ち替え遊びはじめる。盛り上がったところでリズム・セクションが復活、清水のピアノがパワフルだ。ギターも気合が乗っている。3曲目は「Earth Mother」、5分以上の独奏から始まる清水のピアノが素晴らしい。強靭かつ歌心にあふれる。リズムが加わり、それを受けて出る沢井も熱い。
3枚目1曲目「Black Spot」。松風のテナーがスゴイ(ちなみに自分は、松風のアルトでもバリトンでもフルートでもなく、テナーが実は一番好きだ)。続く梅津のアルトも物凄い。2曲目「Ragnarok」、やっぱり3アルトは聴きごたえがある。そして最終曲「Dionysos」で、残ったエネルギーを爆発させる。170分あっという間。