あうとわ~ど・ばうんど

Multi Venus

寺井なんとかいう女流ヴァイオリニストがいて、何かともてはやされているらしいが、その理由が分からない(なんとなく分かるような気もするけれど)。女流ヴァイオリニストという観点でみれば、金子飛鳥のほうがよっぽど面白い音楽をやっていて、寺井某など彼女の足元には遠く及ばない。
Multi Venus」(92年)は金子飛鳥の初アルバム。全11曲64分。この作品は大好きで、今でも時折聴く。今堀恒雄らとの変態複雑系フュージョン(曲によって仙波清彦、八尋知洋も参加)や、Maceo Parkerとのデュオ、渡辺香津美らとのトリオ、坂田明らとのカルテット、弦楽オーケストラなどがぎっしり詰まっていて、とっても楽しい。
特に好きなのは1、5、8、9曲目。1曲目「Death Dance」と5曲目「Replica of the History」では、今堀の変態ギターソロに拮抗する飛鳥のエレクトリック・ヴァイオリンソロにしびれる。8曲目「Basquelo」は、渡辺香津美吉野弘志とのアコースティックトリオ。スパニッシュ風味が利いて味わい深い。9曲目「ジェンネ ジェノ」は、なんと坂田明板橋文夫と井野信義とのカルテットで、過激で情緒あふれる演奏に心打たれる。