あうとわ~ど・ばうんど

Malinke's Dance

Mirty Ehrlichというマルチ・リード奏者(as,ss,cl,bcl,fl,etc)をご存知だろうか? もっとも、自分が知ったのは1年ぐらい前。よく行く喫茶店で、アルトサックスのトリオのCDがかかっていた。「え?まさか、そんなはずは…あれ?」と感じて、店のマスターに「このサックス誰?」と訊いたのがきっかけ。マスターの差し出したのが「Relativity/Marty Ehlich」(enja)だった。早速貸してもらい、コピー。その後、彼の音源を数枚買った。
自分が「あれ?」と感じたのにはもちろん訳がある。それは、札幌界隈のジャズ関係者なら大変よくご存知のサックス奏者に、音やフレーズが(部分的に)よく似ていたからである。ちなみに、このブログでもおなじみのサックス吹きに鑑定を依頼したところ「似てるっていうの、よくわかります! もっていきかたと到達点が、確かに似てます」と一応、お墨付きをいただいた。
で、Ehrlichの話だが、理知的な人なのか、熱くブロウしてもどこか冷静というか、曲によっては随分冷たい印象を受けることもあるが、ここぞというときの集中力は確かに素晴らしい。自分が好きなのは「Malinke's Dance/Marty Ehrlich's Travelers' Tales」(omnitone)。次世代テナータイタン筆頭格Tony Malaby(ts,ss)との、ツーサックスカルテット編成で、Jerome Harrisのacoustic bass guiterの軽くてペナペナな音はいただけないが、ドラムはお久しぶりBobby Previte。1999年録音、全9曲69分。
ライヴ録音、おまけにMalabyとの吹き比べが功を奏したか、ハードに吹きまくるEhrlichが聴ける。個人的には、タイトル曲の3曲目「Malinke's Dance」でのマラビーとのブロウ合戦や、マラビー抜きトリオで、太くふくよかな音色のアルトで歌い上げる6曲目「Tears of Rage」(知らないのだが、Bob Dylanの曲?)が印象に残る。