あうとわ~ど・ばうんど

I Remember YamaTake

山下毅雄が死んだ。
ルパン三世」「七人の刑事」「大岡越前」「プレイガール」「ジャイアント・ロボ」などなど7000曲を作った男。ちなみに、このルパン三世は、背広の青い初代ルパン、栗田貫一とかいうやからではなくもちろん山田康雄で、石川五エ門井上真樹夫ではなく大塚周夫で、峰不二子増山江威子ではなく二階堂有希子で、しかも中期以降の宮崎駿演出と違って初期の大隅正秋演出の不二子は本気でルパンを裏切る(なんの話だ)。世代的にリアルタイムでないせいか、再放送で繰り返し見た「ルパン」以外は特にこれといった思い入れはないのだが、それでも日本人なら一度くらいは聴いたことがあるような哀愁メロディーを実に沢山作っている。
ところで、「山下毅雄を斬る〜大友良英 plays the music of takeo yamashita」(全17曲72分)というアルバムがあって、ジャズ・フィールドからの評判をあまり聞かないような気がするが、自分は割合好きである。
1曲目「プレイガールBGM」、まだ結成前の第1期ONJQメンバーや南博、高良久美子Sachiko Mらが疾走感あふれる演奏を繰り広げる。2曲目「ルパン三世 ending theme(原題:ルパン三世主題歌Ⅱ)」は、大友良英(turntable)今堀恒雄(g)ナスノミツル(b)益子樹(drum programing)らをバックに、本家本元チャーリー・コーセイが原曲にほぼ忠実に歌う。これがイイ。3曲目「ジャイアント・ロボ」は、エンケンの歌(?)を鬼怒無月(g)植村昌弘(ds)らが迎え撃つ(サウンドは想像にお任せします)。5曲目「悪魔くんオープニングテーマ」の天鼓(vo)なんか本当に悪魔みたいだ。
8曲目のオリジナルONJQによる「七人の刑事」も面白いが、やっぱり何といっても一番のお気に入りは13曲目「ルパン三世 ワルサーのテーマ(原題:アフロ・ルパン'68)」だ。チャーリー・コーセイとセクシー・コーラスの歌うバックで、うなりを上げ空気を震わす水谷浩章のベースがスゴイ。南博のピアノも芳垣安洋のドラムもこれでもかこれでもかとガンガンくる。菊地成孔津上研太だって負けていない。大友良英ターンテーブルSachiko Mのサインウェーヴも場を圧する。そしてこれがすべて非常に音楽的なのだな。超カッコイイ。14曲目再び「ルパン三世 ending theme(原題:ルパン三世主題歌Ⅱ)」。今度はjazz versionで、南博・水谷浩章の伴奏でチャーリー・コーセイが静かに歌い上げる。超クール。
それにしても、久しぶりに聴いてみて、意外にちゃんとメロディーを覚えているものである。山下毅雄の音楽が、大友良英アヴァンギャルドに対峙する強さを持っているということなのだろうか?