あうとわ~ど・ばうんど

Keystone

そんなにアルバムを持っているわけではないけれど、Dave Douglasは好きなトランペッターだ。MASADAで共演するJohn Zorn同様、ジャズに対する深い造詣と愛情をもちつつ、現在進行形の音楽、自分の音楽をしっかり追求する姿勢に共感させられる。個人的にはエレクトリックものが大好きだ。70年代マイルスを髣髴とさせる表題曲や8曲目「The Great Schism」がカッコいいアルバム「Freak In」(いかにもなタイトルだなあ)を、愛聴している。
最近出たダグラスの新作「Keystone」を聴いてみた。Douglas(tp)、Jamie Saft(wurlitzer)、Gene Lake(ds)、Marcus Strickland(sax)、Brad Jones(b)、DJ Olive(turntable)というメンバーの、ファンク・グルーヴ系サウンド。20世紀初頭のアメリカ人映画俳優Roscoe “Fatty”Arbuckleにインスパイアされたか捧げられたかの全11曲が並んでいる。ジャズロック風テーマと変拍子リズムが気持ちいい2曲目の「Just Another Murder」や、マイルス60年代黄金クインテットのバラードに現代的衣裳をまとわせたような6曲目「Mabel Normand」、スピード感たっぷりの最終曲「Tragicomique」などが気に入った。
ちなみに、このCDにはdisc2としてDVDも付いている。CDの曲をかぶせたRoscoe Arbuckleのサイレント映画34分と、Arbuckleの映画を使用した「Just Another Murder」のミュージッククリップ4分の、2篇が収録されている。ミュージッククリップはともかくとして、映画(天使のいたずらで結婚した新婚カップルが、新婦に横恋慕している男の策略で、寝ている間に家ごと海に流され、最後に助けられるコメディ)の方はとても音楽と合っているとは思えないのだが、観ているうちにだんだん合ってくるから不思議だ。特に最後の方のたたみ掛ける展開と「Tragicomique」が絶妙にマッチしていた。



ところで、「Just Another Murder」のリフが耳に残って離れない!