道場 弐の巻
坂田明さん参加と知り入手。
- アーティスト: 道場,八木美知依,本田珠也,太田恵資,坂田明
- 出版社/メーカー: IDIOLECT/ボンバ・レコード
- 発売日: 2017/03/11
- メディア: CD
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ゲスト2人には「道場破り」という肩書が割り当てられているが、例えば坂田さんの昨年の「duo improvisation」(9月26日、12月31日参照)のごとく、火花散らし剣が激しく交錯し、負ければ看板を渡さなければならない、切羽詰まった他流同士による果し合い、ではない。どちらかといえば、同門同士、いい仕合をしましょうといった、なごやかな雰囲気である。目当ての坂田さんは2曲に参加、お得意の「音戸の舟歌」がまさにそんな演奏で、もう1曲はやや激しいが、前記作に比べればまだまだ余裕を感じられるところ。むしろ太田さん参加の3曲が素晴らしく、太田さんのインプロヴァイザーとしての凄みをあらためて認識する。デュオによる和洋融合的な2曲も意外といい(というか、こういうコンセプトで一枚作っては、と思うのだが)。
Fred Anderson Quartet - Dark Day
買い足したCDがもう一枚(8日参照)。
DARK DAY + LIVE IN VERONA (1977)
- アーティスト: FRED ANDERSON QUARTET
- 出版社/メーカー: UNHEARD MUSIC SERIES
- 発売日: 2014/02/19
- メディア: CD
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フレッド・アンダーソンが79年5月にシカゴでライブ録音したアルバムのCD化に際し、同じメンバーでその4日後にイタリアで録音されたライブを付け加えた2枚組。それぞれのライブは日付も近いし、2曲重なっているというのに、ほとんど違う内容になっていて、しかもオリジナルアルバムでないイタリア音源のほうが明らかに「良い」のだから驚くべきだろう。アンダーソンは当時ちょうど50歳、まだまだ元気な吹き盛りで、タイトル曲の60~70年代ジャズを引きずったような感触など、ああアンダーソンもやっぱりジャズが根っこにあるのだなあ、とうれしくなる。ところで、トランペットの人はおそらくそうとう真面目にいろんなミュージシャンを研究してるんだろうなあと思えるが、1か所ものすごくブッカー・リトルに似てるところがあって、その瞬間に到達するたび、何だかニヤけてしまう。
Trumpets And Drums - Live In Ljubljana
買い漏らしていたアルバム。元は2013年の clean feed 作品だが、ネイト・ウーリーの bandcamp で今年販売開始されている。
Trumpets And Drums - Live In Ljubljana
(Nate Wooley / Pleasure of the Text / Sound American, 2013)
Jim Black(ds, electronics) Paul Lytton(ds, per) Nate Wooley(tp, effects) Peter Evans(tp)
録音は2012年のリュブリャナ・ジャズ・フェスティバル。メンバーから勝手に想像していた音と比較すれば、ミニマルな即興、というイメージだが、悪かろうはずはない。とは言いつつ、せっかく2打楽器・2トランペットという面白い編成なのだから、同じ楽器同士・違う楽器同士・組み合わせ同士、それぞれにもっと対決色の濃い展開も聴きたかったところではあるが。
Fred Anderson Quartet - Birdhouse
年末年始に買った中古盤は2月19日で打ち止めにしたはずだったが、実はその後、「残り物」を買い足していた。
- アーティスト: Fred Anderson
- 出版社/メーカー: Okka Disc
- 発売日: 2010/06/16
- メディア: CD
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フレッド・アンダーソン、95年(4曲のうち1曲だけ94年)のライブ。アンダーソンのアルバムとしては珍しくピアノが入っていて、このジム・ベイカーのピアノが、アンダーソンが吹いているときはフリーに伴走しつつも、アンダーソンが吹き終えてピアノトリオになったとたん、「昔ながらの」と形容したくなるようなフリー風味をまぶしたモーダルジャズっぽくなる。そして演奏が進むにつれ、アンダーソンのサックスも(やってることはいつも通り、なのだが)それっぽく聴こえてきてしまうから何とも不思議。
Chessex / Noble / Edwards - 12.12.16
OTORoku の DL アルバムをついでにもう一枚。
Chessex / Noble / Edwards - 12.12.16
(OTORoku, 2017)
Antoine Chessex(ts) John Edwards(b) Steve Noble(ds)
幾多のフリージャズサックストリオを支えてきた エドワーズ=ノブル・コンビの今回のお相手は、スイスのアントワーヌ・シェセクス。名前はどこか(忘れた)で引っかかっていたけれど、聴くのは初めて。1980年生まれというから、若手とは言えないだろうが、年寄だらけのこの世界では新世代に属する奏者と言っていいだろう。テナーサックスによる演奏はふつふつ煮え立つようであり、音色もよく、なかなか好印象。なるほどこういう演奏をする人だったのか。
試聴
Yoshihide / Yamazaki / Parker - 14.11.16
久々に OTORoku のダウンロードアルバムを聴く。
Yoshihide / Yamazaki / Parker - 14.11.16
(OTORoku, 2017)
大友良英(g) 山崎比呂志(per) Evan Parker(ts)
これは良かった。エヴァンがテナーサックスだけでソプラノを吹かないのが不満と言えば言えなくもないが、3人のくんずほぐれつが非常に見事である(演奏は最初、エヴァン抜きのデュオから始まるのだが)。むろん3人対等ではあるけれど、主役級の活躍と感じられるのは山崎氏のきめ細やかな粒立ちの良いパーカッションであって、高柳昌行が亡くなるまで長く活動を共にした経歴は伊達ではないとはいえ、これには正直驚いた。ところで、どうして大友さんだけファーストネーム表記なんだろ?
試聴
Crash Trio - Live at Crash
イタリアに注文していたエドアルド・マラッファの旧作が届く。
Crash Trio (Edoardo Marraffa, Chris Iemulo, Stefano Giust) - Live at Crash
(setola di maiale, 2008)
Edoardo Marraffa(ts, sopranino) Chris Iemulo(acg) Stefano Giust(ds)
やっぱりマラッファのサックス(とくにテナー)の音は素晴らしい。もしかすると真鍮の金属結合すら震わせているのではないかと思えるほど管全体を鳴らしきり、硬質でありながら、かつて60年代のフリージャズミュージシャンが持っていたような肉声を感じさせるような生々しさで迫ってくる。現代的でありつつ折目正しきフリージャズ、と聴こえるのは、やはり彼の音に起因するところ大であろう。
参考動画
www.youtube.com