あうとわ~ど・ばうんど

チョビ渋

チョビ渋

チョビ渋

パーソネルはこちら参照


札幌で2010~13年、地元出身の不破大輔さんプロデュースで行われた小中高生(活動終了時は中高生)対象の渋さ知らズワークショップが、総決算として(?)残したアルバムとのこと。当時そのような活動が行われていたのはもちろん知っていたが、YouTube(検索すれば多数あります)で演奏の様子を見たことがあるのみで生を観たことはなく、3年遅れて音源を聴いて驚いているしだい。(なお、このCDが吹き込まれた直後に札幌で行われた渋さチビズのライブでは、本盤に参加していたと思われる子たちが、立花秀輝氏の眼鏡がずり落ちそうになるたびに悲鳴のような歓声を上げていたのを思いだす。13年3月20日参照)

ここで披露されている8曲は全てメンバーのオリジナルで、各楽曲の構造もネーミングセンスも本家渋さ知らズのマナーが踏襲されている。その演奏は若さも、青さも、渋さも、巧さも、熱さも、粗さも、歪さも、元気さも、楽しさも、頼もしさも、かわいらしさも、生きの良さも、思い切りの良さも・・いろいろと兼ね備えていて、なんだか微笑ましくうれしくなってしまうのだった。メンバーの中には現在ミュージシャンへの道のりの途上という人もいるようだが、彼ら彼女ら全員の今後の音楽人生に幸多からんことを願う。

Illegal Crowns

Mary Halvorson の新譜をようやく聴く。

Illegal Crowns

Illegal Crowns

Mary Halvorson(elg) Tomas Fujiwara(ds) Benoît Delbecq(p, prepared piano) Taylor Ho Bynum(cor, flh)


これは聴けば聴くほどに滋味深い。メアリー~トマ~テイラーの鉄壁トライアングルに、ブノワのピアノがどう絡むかと思いきや、むしろ鉄壁のクワドラングルとなっている。あるいはテトラヘドロンとでもいおうか。4者の奏でる音は実軸を共有しつつそれぞれに異なる複素数空間を辿るように見え、しかしユークリッド空間にいるわれわれの耳には、摩訶不思議な魅力をたたえた音楽として聴こえるようだ。ブノワの参加の影響か、どこかヨーロッパ的なノスタルジーやエレジーが嗅ぎ取れる(気がする)のも、良い感じである。


参考動画(録音前日のライブ)
www.youtube.com


Mary Halvorson の過去記事アーカイブ(旧ブログ)

John Zorn - Sacred Visions

ジョン・ゾーンの作曲家名義の新作を聴く。

Sacred Visions

Sacred Visions

Jane Sheldon,Sarah Brailey, Eliza Bagg, Rachel Calloway, Kirsten Sollek(voices)
JACK Quartet : Chris Otto(vln) Ari Streisfeld(vln) John Pickford Richards(viola) Kevin McFarland(cello)


前半がアカペラ女声五重奏、後半が弦楽四重奏。前半の5人のうち4人は、今年3月に感銘を与えてくれた「Madrigals」(6人)と共通していることもあって、大いに期待して入手した次第。女声コーラスだけでなく、弦楽四重奏も含めてこういう音楽をたまに聴くと、やはりいいもんだ。心が洗われる心地がする。いや、ジャズを聴くと心が汚れるというわけではないですが。

BZ BZ UEU - Tapes & Vinyls

Clean Feed の3枚や Relative Pitch の新譜(どれとは言わぬがイマイチだったので紹介はしない)と一緒に、試聴で興味を覚えて購入。

BZ BZ UEU - Tapes & Vinyls
Music 'A La Coque, 2016)
Efisio Biancofiore(g) Edi Leo(tp) Jacopo Andreini(sax) Carlo Lupori(d) Pino Montecalvo(b)


グループのことは全く知らなかったが、discogs によればイタリアの『アヴァン・パンク・ジャズ・バンド』で、20年以上の活動歴があるらしい。アルバムは90年代に発表したカセットテープやレコードの音源を寄せ集めたものとのこと。サウンドの基本はロックであるが、ところどころフリージャズ風味も漂う。サックスは上手いんだか下手なんだか、ジャズとは違う変てこなアバレ具合で、逆に新鮮な感じ。

LUME - Xabregas 10

引き続き Clean Feed の新作を聴く(まで、今回リリース分は計3枚を購入)。

Xabregas 10

Xabregas 10

Marco Barroso(composition, direction, p) Manuel Luís Cochofel(fl) Jorge Reis(ss) Paulo Gaspar(cl) João Pedro Silva, Ricardo Toscano(as) José Menezes(ts) Elmano Coelho(bs) Sérgio Charrinho, Pedro Monteiro, Gonçalo Marques(tp) Luís Cunha, Eduardo Lála, Mário Vicente(tb) Miguel Amado(elb) André Sousa Machado(ds)


ポルトガルのピアニスト・コンポーザー Marco Barroso が率いる LUME(Lisbon Underground Music Ensemble)の新作。CF からは初登場だが、「L.U.M.E」というデビュー作が3年前に出ているらしい(未聴)。総勢15人(+ゲスト1人)は、トロンボーンの Eduardo Lála を除けば知らない人たちばかりだったが、試聴で引っ掛かって入手した。


展開される音楽は、エレクトロニクスやサウンドコラージュを駆使しつつ、ザッピングのように構築されたコンポジションとアレンジが特色(フランク・ザッパピンク・フロイドからの影響を指摘するインフォメーションもあるが、そちら方面には詳しくないのでよく分からない)のコンテンポラリービッグバンドといった風情で、意気は買いたい。なおアルバムは、最近亡くなったサックスの Jorge Reis に捧げられているとのこと。


試聴
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ティザー
www.youtube.com

Life and Other Transient Storms

Clean Feed レーベルの新譜を続けて聴く。

Life and Other Transient Storms

Life and Other Transient Storms

Susana Santos Silva(tp, flh) Lotte Anker(ts, ss) Sten Sandell(p) Torbjörn Zetterberg(b) Jon Fält(ds)


これは面白いぞ! 最近注目されているらしいトランペット奏者 Susana Santos Silva(ポルトガル出身)をリーダーに、サックスの Lotte Anker(デンマーク出身)と、いずれもスウェーデン出身の Sten Sandell, Torbjörn Zetterberg, Jon Fält のピアノトリオを迎えた、5人によるライブ盤。女性管楽器と男性ピアノトリオによる男女交歓とも、還暦近いSten & Lotte 組と70年代生まれの Silva, Zetterberg, Fält 組との世代抗争とも受け取れるメンバー構成だが、まあそんなことは考えるだけ野暮な話(おいおい)で、展開されているのは欧州マナーの由緒正しきフリージャズである。Sten と Lotte はさすがベテランの貫録で存在感を示している、などというと先ほど自分で否定した世代抗争の陥穽にはまってしまっているけれど、事実なのだから仕方がない、むろん若手側(という年代でもないので、むしろ中堅組とするのが妥当か)だって気を吐いている。


試聴
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Cortex - Live in New York

Clean Feed レーベルの新譜が届く。

Live in New York

Live in New York

Thomas Johansson(tp) Kristoffer Alberts(sax) Ola Høyer(b) Gard Nilssen(ds)


Starlite Motel の「AWOSTING FALLS」(4月2日参照)でも活躍していた、サックス奏者クリストファー・アルバーツとドラマーのガルド・ニルセンが参加するノルウェーのグループ、Cortex の新作。同レーベルからは前作「Live!」に続いての2枚目(通算4枚目らしい)で、またしてもライブ。クリストファー・アルバーツのサックスが、ひしゃげたような音のノイズ発生装置と化している場面をはじめ、特異な個性が非常に際立ち、比較的ストレートアヘッドなトランペットとの対比もあって、とても良かった。全3曲35分という収録時間にはやや不満があるものの。


試聴
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