あうとわ~ど・ばうんど

Matt Mitchell - A Pouting Grimace

pi recordings の新作を聴く。(本来はその前に、何度も聴いたタイショーンの新作について書くべきであろうが)

A Pouting Grimace

A Pouting Grimace

Matt Mitchell(p, Prophet 6, electronics, compositions) Kim Cass(upright b) Kate Gentile(ds, gongs, perc) Ches Smith(vib, glockenspiel, bongos, timpani, gongs, tanbou, perc) Dan Weiss(tabla) Patricia Brennan(vib, marimba) Katie Andrews(harp) Anna Webber(fl, alto fl, bass fl) Jon Irabagon(sopranino sax, ss) Ben Kono(oboe, english horn) Sara Schoenbeck(bassoon) Scott Robinson(bass sax, contrabass cl) Tyshawn Sorey(conductor)


本作を蓮見令麻さんは『三次元的空間、サウンド・インスタレーションとして聞くのが最適ではないだろうか』と評していたが、なるほど、ジャケットの装幀がそれらしくメンバー各人ばらばらに見えて相当に複雑なルールを課され立体パズルのように組み合わさって音楽が形作られているように聴こえ、どの曲もどこかイビツで、そのイビツさが心地よい。とはいえ、私が聴きながら思っていたのは、いろいろな参照項が思い浮かぶことで、SF映画のサントラのように思えるのはまあよくある感想として、ときどきティポグラフィカのように聴こえることもあるし、クライムタイムオーケストラを思い出す時もあるし、アルバム最後のマットのエレクトロニクスはマイルス・デイヴィスライヴ・イヴル」のスタジオ作品を想起するといった具合で、ただしそれは別に欠点というわけでもない。いろいろと想像力や記憶力を掻き立ててくれる喚起力に富むということだ。