Anthony Braxton - 23 Standards (Quartet) 2003
年末年始に買った中古盤(まだ聴いてる)のうち最も大物をようやく聴き終える。
- アーティスト: Anthony Quartet Braxton
- 出版社/メーカー: Leo Records UK
- 発売日: 2004/10/26
- メディア: CD
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1月10日に聴いた「Anthony Braxton Quartet - 8 Standards (Wesleyan) 2001」と同じメンバーによる4枚組。やはりブラクストンが曲の枠を食い破ることなくソロを取り、ブラクストン以外の3人がまっとうにジャズを演奏している。のであるが、前期作から2年が経過しているためか、ブラクストンが曲の枠内ぎりぎりを突いてソロに「らしさ」が感じられ、残る3人も時に奔放に攻めるようになっているので、聴き難さはそれほどでもない。収録されている23曲は商品紹介ページを参照してもらえばよいが、渋めの選曲という印象(もっとも、スタンダード集のスタンダードな選曲というのはよく知らない)で、4枚の中では2枚目が最も好みかな。
試聴
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多田誠司 / スガダイロー ~ 残照
多田氏とスガさんのデュオ新作を聴く。
- アーティスト: 多田誠司,スガダイロー
- 出版社/メーカー: スタジオトライブレコーズ
- 発売日: 2017/02/10
- メディア: CD
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前作「We See!!」(14年12月22日参照)から、さらに深みを増している。冒頭のスガ氏のオリジナル「黒坊主参り候」から最終曲「Fire Waltz」まで、すべての曲が滋味深く、とくにタイトルチューン「残照」の情趣深さには首を垂れて感じ入るしかない。フリーもストレートアヘッドも関係なく、ただただ一個のジャズとして、素晴らしい。前作リリースから2年間、ツアーやライヴを重ねてきた成果、ということなんだそうだけど、まあこれは前作の感想でも書いたが、いいかげん北海道に来てくれませんかね?
Brötzmann / Parker / Drake - Never Too Late But Always Too Early
年末年始に買った中古盤がまだいくつか残っている。
Never Too Late But Always Too Early
- アーティスト: Peter Brotzmann,William Parker,Hamid Drake
- 出版社/メーカー: Eremite Records
- 発売日: 2003/11/04
- メディア: CD
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ペーター・コヴァルトに捧げられた作品。ということになっているが、演奏している人たちはたぶん演奏中はそういうことは忘れている(ブロッツマンなんかはとくに)と思うが、パーカーとドレイクによって繰り出される心地よいリズムに乗って、ブロッツマンが気分よさそうに吼えまくっている。観客の反応も、ふつうのフリージャズのそれとは違った熱狂ぶりで、その気持ちもたしかによくわかる。
加藤崇之 × 早川岳晴 × 藤掛正隆 trio edge
加藤崇之さん参加の新作を聴く。
- アーティスト: 加藤崇之×早川岳晴×藤掛正隆,加藤崇之,早川岳晴,藤掛正隆
- 出版社/メーカー: インディーズ・メーカー
- 発売日: 2017/01/25
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藤掛さんの主宰する Full Design Records は加藤さんの作品がよく出ているし、早川さんもよく参加しているので、このトリオのアルバムもよく出ている気になっていたが、3人のみの前作となると8年前のCDR作品「崖っぷちセッションvol.7」(09年2月24日参照)まで遡らなければならないとは驚いた。相変わらずの煌びやかな音世界であるが、加藤さんのギターを聴き慣れていると、このぐらいのレベルは普通だよね、と感じられてしまうから困る(?)。
The Sync
旧作ながら The Free Jazz Collective の記事でメンバーに興味を覚えて購入。
The Sync - The Sync
(The Bridge Sessions, 2016)
Sylvaine Hélary(fl, effects, vo) Fred Lonberg-Holm(cello, effects) Eve Risser(p, prepared piano) Mike Reed(ds)
これはすごく良いぞ。レーベルはシカゴが拠点で、フランスとアメリカの音楽家のコラボレーションをコンセプトとしているらしく、本作品もフランスの女性ミュージシャン2人とシカゴのおっさんミュージシャン2人で構成される。ロンバーグホルムのチェロ及び、とりわけエレクトロニクスが凄いのは当然だが、イヴ・リッサの粒立ったピアノとプリペアドピアノの存在感が抜群で、マイク・リードのドラムも細やかに応戦する。フルート及びヴォイスがやや弱いのが残念だが、3人がぐいぐいと音楽を進めていくさまは、トライアングルの各頂点が重心に向かって収縮し、それにつれて密度と重力と速度と磁力を増していくようである。
Matt Mitchell - FØRAGE
ティム・バーンが主宰する Screwgun Records がいつのまにか bandcamp を開設していて、ついでに新作も出ている。例の特製ケース入りCDを注文かたがた、ボーナスのダウンロード音源を聴く。
Matt Mitchell - FØRAGE
(Screwgun Records, 2017)
Matt Mitchell(p)
ティム・バーンのグループ「Snakeoil」のピアニストであるマット・ミッチェルのソロによるティム・バーン曲集。マットはクレイグ・テイボーンに次いでティムのピアニストに抜擢された逸材であるのだが、先任のクレイグには与えられなかった(というわけでもないのだろうが)Screwgun からのリリースは、作品解説で「彼以上に自分の音楽を知る音楽家はいない」とティムに言わしめた信頼と期待の表れであろう。収録されている7曲はティムの書き下ろしなのか、過去に収録された作品があるのかわからないので、だからまあ知らない曲ばかりなのだけれど、ピアノの調べの中からティム独特のリズムとメロディーがほんのり浮かび上がるようにはなっていて、なるほど面白いなーと思うと同時に、ティムが ECM からアルバムを出せているのもマットの役割が大きいのかもしれない、とも考えたりした。
silva rasmussen solberg - free electric band
注目すべきアルトサックス奏者メッテ・ラスムッセンが参加しているので以前から気になっていたが、ようやく入手。
silva rasmussen solberg - free electric band
(for tune records, 2016)
Alan Silva(syn) Mette Rasmussen(as) Ståle Liavik Solberg(ds)
メッテは私が考えていたよりはるかに引き出しの多い七色十色の多彩多様な音を駆使していて、しかもどれもが抽象的でなく喚起力に富む豊かな物語性を伴って、45分一本勝負を泳ぎ切っている。それは彼女にそれだけの能力があった(ことを見誤っていた)わけだが、むろんそれが開陳されたのは彼女の独力によるものでなく、共演三人の阿吽の呼吸によってこの時はそれが引き出された、ということなのであろう。アラン・シルヴァはここではベースでなく、シンセサイザーを弾き、このプレイもまた彼女に呼応するように多種の響きで場を挑発している。個人的には彼のベースよりも好みかもしれない。ということも含めて、うれしい驚きに満ちたアルバムだったのだ。
参考動画
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