yasumune morishige / ruten
id:yorosz (@yorosz)さんのツイートで、Leo Okagawa (@prtcll)さんの記事「30 Music of 2018」を知り、眺めてみたところ、森重靖宗のアルバムがあったので興味ひかれ、CDという選択肢も当然あったものの、bandcamp を見つけたので手っ取り早くデジタルを購入した。
yasumune morishige / ruten(2017)
森重靖宗 (cello)
昨年6月、東京出張の折に、その前月に刊行された『別冊ele-king カマシ・ワシントン / UKジャズの逆襲 (ele-king books)』(5月30日参照)の「NYジャズ人脈図」「NYジャズ・ディスク・ガイド30枚」に携わったメンバー4人で集まり、 Ftarri で〈森重靖宗+徳永将豪〉を観た。事前には生で初めて観る徳永氏のアルトサックスに興味津々だったのだが、終了後にわたしの印象に深く刻み込まれたたのは、荒行をものともしない修行僧のような風貌で圧倒的なチェロ演奏を披露した森重氏のほうであった。(なおその時の齊藤氏と細田氏の感想を参考に置いておく)
徳永将豪ソロでは珍しく構成的な作曲作品を演奏。息音の強調やマルチフォニックスなどを即興的に織り交ぜつつも、メロディアスなフレーズを反復していく様はリリシズムに溢れ、こう言ってよければ官能的でさえあった。作曲者は竹田和也さんで、同楽曲はこれで三度目となるパフォーマンスだそうだ。
— 細田成嗣 (@HosodaNarushi) June 24, 2018
3セット目のデュオでは、それまでの構成的なソロとはガラリと様相を変えて、刺激的瞬間が連なる対話的セッションが繰り広げられていった。徳永さんの実験的なサウンドの揺らぎに、森重さんによるチェロの弓奏がユニゾンから不協和音まで滲み重なり合うなど、付かず離れずの緊張感が終始漂っていた。
— 細田成嗣 (@HosodaNarushi) June 24, 2018
本作は、ライブでも披露されたようなソロ演奏。冒頭で時空を静かに揺らしたかと思えば、以降はモーターが駆動するような音、吹いてはぶつかり渦巻く風を思わせる音、空間を裂く鋭い音、周囲の空気を蠕動し攪拌する種々の共鳴振動、あるいはチェロ本来の玄妙な響きまで、エフェクトやオブジェクトの類いは一切なしに、弓と指のみで拡張的奏法を数々用いて多彩な音を放出し、まさにタイトル通りの生々流転する音たちに酔う。