あうとわ~ど・ばうんど

Joëlle Léandre & Marc Ducret / Chez Hélène

Ayler Records からマルク・デュクレ(g) の新作が出ている。


Joëlle Léandre & Marc Ducret / Chez Hélène
Ayler Records, 2018)
Marc Ducret (elg), Joëlle Léandre (b)


今年5月のライブ録音。タイトルはエドガー・アラン・ポーの代表的な詩である「To Helen」(ポーは同名の詩を2篇書いているが、これは少年時代の友達の母親に捧げた1931年作品のほう)から採られている。フランスを代表する即興ベーシスト、ジョエル・レアンドルとデュクレの組み合わせは、やや意外と感じるが、アルバムを聴くとこれは絶妙な取り合わせだと分かる。

アルコやピッツィカートで奏でられるレアンドルの重くも残響豊かなコントラバスサウンドに、デュクレはいつもの金属音を強調したようなエレクトリックギターで、奇天烈フレーズは抑えめに、時にパーカッシヴに時にエレクトロニクスのように『音響的』アプローチで絡んでいく。のだが、これが意想外にも相性抜群で、ほどよい緊張感とリラクゼーション、とても不自由で限りなく自由なインタープレイが滋味深い。デュクレのインプロヴァイザーとしての手腕もあらためて認識する。