あうとわ~ど・ばうんど

Cecil Taylor Unit - Akisakila

年末年始の中古盤から。こんな超有名盤を実は持っていなかった(もちろん聴いたことはある、というか、HDDにはダウンロード音源が入っている)。

アキサキラ

アキサキラ

Cecil Taylor(p) Jimmy Lyons(as) Andrew Cyrille(ds)


セシル・テイラーが初来日した1973年5月22日のライブ。久しぶりに聴いたが、圧倒的速度と密度と強度で80分にわたって疾走するセシルのピアノがやはり素晴らしい。録音が悪いのが玉に瑕だが、これを彼の最高傑作に位置づける人の気持ちもよく分かる。ところで、このライブ会場には当時同編成のトリオを率いていた山下洋輔がいて、彼が〈モロに脳天に食らって〉〈ミケンをカチ割られ〉〈一週間のモーロー状態〉に陥った衝撃が「セシル・テイラー 蜜月の終わり」というエッセイで語られている(「ピアニストを笑え! (新潮文庫 や 12-1)」、現在は「ジャズ武芸帳 (エッセイ・コレクション)」に収録)。音楽性の違いといって済ませることもできたはずだが、〈おれとジャズとの蜜月旅行をいきなり終わりにしてしまった〉と書く山下洋輔のジャズに対する敬虔な態度はやはり信用できる、と思うのだ。ちなみにそのエッセイによると、本作は第一部の演奏で、第二部でセシルはピアノを全く弾かず歌と踊りに終始し、〈何度も舞台から姿を消し、果ては楽屋のほうで大声で歌ったりした。もどってきて、片腕だけ舞台のソデから出したり、カーテンをゆらしたり、楽々とふるまった〉といい、その様子にも衝撃を受けたそうだ。この第二部の様子も収録した『完全版』がいつか出てくれないものだろうか。


試聴
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