あうとわ~ど・ばうんど

サイドマンとしてのアンドリュー・ヒル(Blue Note)

アンドリュー・ヒルの最初のブルーノート時代(63~70年)には十数枚のリーダー作と、数多くの未発表セッション(その多くは「Mosaic Select」で日の目を見ている)がある一方で、サイドマンとして参加した作品は4枚(うち2枚は初リーダーセッションの前なので、レーベル在籍中はわずか2枚)にすぎず、他のブルーノート専属ミュージシャンと比べるとなぜか圧倒的に少ない。とはいえ、ブルーノートにおけるサイドマンとしてのヒルを聴いたことがこれまでになく、4枚のうちサム・リヴァースの「Involution」を除く3枚がブルーノート・ザ・マスターワークスとして再発されたので、購入してみた。


アワ・シング+1

アワ・シング+1

Kenny Dorham(tp) Joe Henderson(ts) Andrew Hill(p) Eddie Khan(b) Pete La Roca(ds)

ブルーノートにおける、ヒルの初吹き込み。ジョーヘンとヒルは親和性が高く、録音2ケ月後にヒルの初リーダー作セッション「Black Fire」が、ジョーヘンを加えたワンホーンカルテットになったのも、むべなるかなという印象。


ノー・ルーム・フォー・スクエアーズ+4

ノー・ルーム・フォー・スクエアーズ+4

Hank Mobley(ts) Lee Morgan(tp) Andrew Hill(p) John Ore(b) Philly Joe Jones(ds) Donald Byrd(tp) Herbie Hancock(p) Butch Warren(b)

こんなことでもなければ、決して手を出さなかったであろう(笑)アルバム。前述アルバムの翌月の録音で、ヒルの参加はおそらくアルフレッド・ライオンのごり押しだろう。ヒルはファンキー+モーダルにもそつなく対応するが、正直言って、ピアノがヒルである意味が特にないと思う。


ダイアローグ+1

ダイアローグ+1

Freddie Hubbard(tp) Sam Rivers(fl, bcl, ss, ts) Bobby Hutcherson(vib) Andrew Hill(p) Richard Davis(b) Joe Chambers(ds)

前述アルバム録音の翌月である63年11月に、ヒルは初リーダー作「Black Fire」を吹き込み、翌12月に「Smoke Stack」、翌64年1月に「Judgement」、ひと月挟んで3月に「Point of Departure」、ふた月挟んで6月に「Andrew!!!]」と、怒涛の録音ラッシュをこなす。明けて65年の4月に、初めて他人名義の作品に参加したのが本作。ハッチャーソンとは既に「Judgement」「Andrew!!!」で共演済みで、気心は知れていただろう。ハッチャーソンの作品だが、ほとんどの作曲はヒルが担当している。メンバーを眺めるに、個人的にはエリック・ドルフィーという補助線を引きたくなるが、まあそんなことに意味はなさそうだ。演奏はフリー寄りで、この3枚の中では一番面白く聴いた。