あうとわ~ど・ばうんど

Wadada Leo Smith & Eco d'Alberi - June 6th, 2013

June 6th 2013 -Ltd-

June 6th 2013 -Ltd-

Wadada Leo Smith(tp) Edoardo Marraffa(ts, sopranino) Alberto Braida(p) Antonio Borghini(b) Fabrizio Spera(ds)


イタリアの精鋭フリージャズグループ「Eco d'Alberi」の新作が、突然出た。しかも、ワダダ・レオ・スミスとの共演盤である。昨年6月、イタリアのジャズ祭での演奏とのことだが、とっても素晴らしい内容。

Eco d'Alberi は、やっぱりいい。もっと人口に膾炙して良いグループだと思う。私の耳はどうしても出色のサックス奏者 Edoardo Marraffa に向きがちだが、ピアノもベースもドラムも全員が対等で、バランスも非常に良い。盛り上がり所はさすがグループとしての本領発揮!という感じで、さしものレオ・スミスも(存在感はさすがだが)置き去りにしてしまう。

Eco d'Alberi というグループ名は、60年代アメリカの黒人運動家にして詩人・小説家のヘンリー・デュマス(彼がサン・ラーにインタビューした録音テープをアルバム化したトンデモ盤があるらしい)の短編「Eco Tree」にインスパイアされたとの由。ならば、アフロアメリカンとしてのアイデンティティーにも敏感なレオ・スミスとの共演は必然だったのだろうか。このアルバムの曲タイトルもデュマスの詩からの引用らしい。

デュマスは68年にニューヨークで、警官の「誤射」で殺害されたという。50年近くたった現在も、アメリカでは同じようなニュースが流れている。そうした事件のさなかのリリースは、このアルバムにとっては果たして幸か不幸か。(いや、演奏はそんなことに全く関係なく面白いのだけど)


Eco d'Alberi (単独)の動画


Edoardo Marrafa に関する過去エントリ
http://outwardbound.hatenablog.com/entry/2014/02/05/022536
http://d.hatena.ne.jp/joefree/20120212/1329048776