あうとわ~ど・ばうんど

反解釈

反解釈 (ちくま学芸文庫)
本棚から、埃だらけになった「反解釈 (ちくま学芸文庫)」(スーザン・ソンタグ著)を発見した。学生時代に読んだものだ。懐かしい。パラパラめくってみた。
書かれていた内容を、けっこう覚えているものである。たとえば、こんな一節。

現代における解釈は、つきつめてみると、たいていの場合、芸術作品をあるがままに放っておきたがらない俗物根性にすぎないことがわかる。本物の芸術はわれわれの神経を不安にする力をもっている。

あるいは、こんな一節。

様式はある時間、ある場所に属し、われわれがある芸術作品の様式を自覚するときは、つねにその作品の歴史性、時間の流れのなかの位置について意識するためばかりではない。さらに様式がはっきり目に映ること自体がすでに歴史的意識の産物なのだ

さらには、こんな一節も。

芸術作品として出会った芸術作品はひとつの経験であり、発言とか、質問に対する回答などではない。芸術は何かについて述べるものではない。それ自体何かなのである

(どれも本の導入部からの引用であるが、後ろのほうには目を通していないのは勘弁されたい)。学生時代の私はこの本を、文芸的興味もあったにせよ、また同時に、ジャズ(音楽)について考えるためのよすがにしようとしていたようである。ソンタグは、音楽に関しては例外扱いにすることが多いようだけれども。