70年代ゲッツを聴く
ビル・エヴァンスについて書いた時と重複してしまうが、大学ジャズ研の新入部員時代、ある先輩にいろんな『名盤』を(正座して)聴かされ、結局そこで聴かされたミュージシャンたちのほとんどを嫌いになってしまったわけですが(先輩が嫌いだったのでなく、趣味が違ったのです。と思います。当時の仲間が読むとモロ判りなので、そう言っておかないと・・・と書くと、墓穴を掘ってますが。苦笑)、まあ、ともかく、スタン・ゲッツもその一人だった。
たしか「Quartets」じゃなかったかな、と記憶しているが、その音色がダメだったような気がする。それから10年以上が経過したある日、ジャズ酒場でしたたか酔った時に聴こえてきた「People Time」に心動かされ、ゲッツに開眼した・・・わけでなく、CDを買って聴いたらそれほど感動せず、やっぱり自分には合わないのだな、ということにしてしまった。
が。しかし。今年、エルメート・パスコアルと共演した動画(1月11日)と、チック・コリアやトニー・ウィリアムスらを擁した動画(先月22日)を観て、70年代ならイケるんじゃないか、と再挑戦してみた(最近、モダンジャズの発掘音源を聴く流れもあったし)。
「Complete Live at Montreux 1972/Stan Getz Quartet」(gambit)。72・74年、9曲77分。Stan Getz(ts) Chick Corea(elp) Stanley Clarke(b) Tony Williams(ds) Albert Dailey(p) George Mraz(b) Billy Hart(ds)
「My Foolish Heart/Stan Getz」(hyena)。75年、7曲56分。Stan Getz(ts) Richie Beirach(p) Dave Holland(b) Jack DeJohnette(ds)
いや〜面白かった。メンバーに惹かれたから聴いてみたのだけれど、ゲッツがそれ以上に凄まじい。ゲッツ嫌いで15年以上過ごしてきたのが惜しくなった。やっぱり、最初に聴くアルバムって重要だなあ(笑)。