あうとわ~ど・ばうんど

Furnace

これも東京にて購入。
毎度おなじみ流浪の番組、じゃなかった、ケン・ヴァンダーマークの話題。昨年ヴァンダーマークがクラリネットだけを吹くFree Fallというトリオの「Amsterdam Funk」を紹介したとき、『ヴァンダーマークの新ユニット』と表記したが、間違いだった。先立つアルバムが存在した。それがこの「Furnace」(02年、全9曲45分)だ。Ken Vandermark(cl,bcl)Ingebrigt Haker Flaten(b)Havard Wiik(p)。
ライナーノーツに、ヴァンダーマークが(英語で)こんなことを書いている。『Free Fallという名は、ジミー・ジュフリー・トリオ(Giuffre,Paul Bley,Steve Swallow)の素晴らしいアルバムにインスパイアされて付けた。だが我々はトリビュートバンドではない。ジャズの現在とは何かという問いへの答えが、このバンドだ』
「Amsterdam Funk」では実験的作風が強かったが、この作品はもっとオーソドックスなフリージャズ(という言い方は変かもしれないが)寄り。ヴァンダーマークのサックスは倍音成分を豊富に含んだガサガサした音色が特徴的だが、クラリネットを吹くと、サブトーンをふんだんに利かせスモーキーで奥行きの深い音色になり、とても美味しい。フラーテンのベースは堅固にして軽快、ヴィークのピアノも闊達自在だ。
タイトル曲④、燃え盛る炎の中、3者一体で四方八方に爆ぜるさまが強烈。他ではビル・エヴァンスに捧げたという⑥「Half Post Soon」。途中カインド・オブ・ブルーを思い起こさせる瞬間もあり、印象深い。