あうとわ~ど・ばうんど

Maiden Voyage

超名盤を聴くシリーズ。「Maiden Voyage/Herbie Hancock」、全5曲42分(65年)。Freddie Hubbard(tp)George Coleman(ts)Hancock(p)Ron Carter(b)Tony Williams(ds)。
このアルバム、新主流派などと言って一般的に流布されているよりは、ハードバップ臭が強いと思う(そこが広範なジャズファンに受け入れられるところなのだと思うが)。たぶん、ハバードもコールマンも結局はハードバップからは逃れられなかった人なのではないかな。でも、当時のマイルス黄金クインテットを支えた、このリズム隊が醸すサウンドは爽快で、タイトル曲①はやっぱり名曲だ。というか、このイントロとリズムパターンはいつ聴いても絶品。
個人的ベストは④「Survival of the Fittest」。終盤、ハービーがフリー的展開に持ち込み、トニーと2人で盛り上げる。ちなみに、この65年はマイルスが入退院を繰り返し、1年弱を棒に振った年。アルバムは1月に「E.S.P.」、12月に「プラグド・ニッケル」の2種類しかない(ブートも知る限りでは、無い)。その中間に位置する録音(5月)で、フリーに傾きかけているのが確認できるという意味でも興味深い。
余談だが③「Little One」は、その「E.S.P.」にも吹き込みがある。「E.S.P.」ヴァージョン(偶然にも同じ3曲目。妖しいムードはこっちが断然)のオープニングとエンディング、クレジットにないがショーターが一瞬ソプラノを吹いていないだろうか。どう聴いてもテナーの高音部ではないように思う。しかもすぐに再び何事もなかったようにテナーが出て、ソロもテナーで取る。なぜこんなことをしたのか、いまだに不思議。
「Maiden Voyage」に話を戻す。それにしてもジョージ・コールマンは地味だなあ。彼のことが嫌いだったというトニーが、真剣に煽ってないからだろうか。邪推?