あうとわ~ど・ばうんど

Black Out

7年前の今日、東京・江古田で凄いライヴがあった。できればその場に居合わせてみたかったものだと、このアルバムを聴くと思ってしまう(この1週間後、中山競馬場に行って弥生賞を見て、2着に敗れたがアドマイヤベガをダービーで本命にしようと決めた。という話は本筋に関係ないのでどうでもいい。ちなみに今は競馬を全くやらない)。
というわけで「ブラックアウト+山下洋輔 1999・2・26ライブ」。全5曲52分。早坂紗知(as,ss,comp,arr)津上研太(ss,as)菊地成孔(ts)林栄一(bs)永田利樹(b)+つの犬(ds)山下洋輔(p)。顔ぶれが実に魅力的。林栄一が持ち替えなしのバリサクというところも興味深い(実際のライヴ全体でどうだったかは知りませんが)。ところでこのタイトルだと、つの犬が可哀相ではないでしょうか。
①「My Little Strange Shoes」。曲は『スウェード・シューズ』の変形だが、オリジナルとはどう違うのでしょう? それはともかく管のコレクティヴ・インプロからテーマへ。ソロは菊地。つの犬とのデュオで飛ばす飛ばす。やがてフリー的展開へ。さすが、華があるなあ。②「Au revoir」はベースソロから。永田の音色はいつ聴いても実に素晴らしい。クレジットメンバー全員参加で愁いを帯びたテーマ、早坂ソプラノソロを経て、林へ。バリトンだとあまり気分が出ないが、アルトの音に置き換えてみると、得意の泣きフレーズが満載。テーマに戻り、エンディングにかけては津上アルトが冴え渡る。しかし、菊地・林は後ろで何て変てこりんで素晴らしい音を出してるのだろう。
③「My Funny Valentine」は早坂と山下のデュオ。リードミスも含めて、早坂のアルトが実に情動的で心に沁みる。④「ANDALUZA」は美しい曲。ピアノ・ドラムが抜け、オリジナルグループのみ。集団インプロで曲を紡ぐ。そして全員集合して、韓国リズムにインスパイアされたという名曲⑤「Ring of Cannabis」だ。つの犬ドラムソロから超かっこいいテーマへ。山下ピアノ、津上ソプラノを経て、菊地登場。このテナーソロ、(自分が知る範囲の)菊地の演奏の中でも最凶部類で、大好き。それにしても、音でかっ! 向かって左隣にいるはずの早坂のソプラノがほとんど聴こえません。